山梨県では江戸時代の終わりごろからハンコの生産が盛んに行われるようになり、現在でも生産量全国一位。
「はんこの町」の愛称で知られます。
そんな山梨県で受け継がれる伝統技術によって作られる印章の最高峰が、「甲州手彫印章(こうしゅうてぼりいんしょう)」です。
山梨県が誇るブランド商標であり、山梨県印章店協同組合によって、平成19年(2007)1月19日、地域団体商標に登録されました。
山梨県はいかにしてハンコの名産地になったのでしょうか。
山梨県の甲州手彫印章とは
山梨県内で生産される印章は、土台づくりから、印章に彫り込む文字を書き、印面を彫り、仕上げまで、全ての工程が職人による手作業で行われます。
また、印材メーカー、彫刻業者、販売業者など、ハンコにかかわるすべての事業者が県内に集積しているのも、山梨県のハンコ産業の特徴です。
伝統的な甲州手彫印章の製法では、原料にツゲ、水牛、水晶を使用します。
具体的な作り方は、原料によって異なります。
ツゲ、水牛が原料の場合は、起低刀という伝統的な道具を使い、文字部分を残すよう粗彫りし、次いで、やはり伝統的な道具である判差刀を用い、細かい部分を調整し、仕上げます。
この際、山梨県に伝わる、押切刀法や引切刀法といった伝統的な技法が活用されます。
印材が水晶の場合は、タガネ製の専用道具を使います。
まず、丸刀を使って印面を浮き彫りにし、次に、平刀で細かい部分を仕上げます。
最後に、さらい刀で凹面を整形して完成です。
これら山梨県に特有の伝統的な製法は、平成17年7月31日、経済産業省により国の伝統的工芸品に指定されました。
山梨県の甲州手彫印章の歴史
山梨県で印章の生産がさかんに行われるようになったのは、江戸時代の終わりごろ、文久年間(1861~63)からだと言われています。
このころ、山梨県内で、良質な水晶鉱が発見されたことがきっかけです。
豊富な水晶を使って、水晶細工が作られるようになり、中でも、特に発達したのがハンコだったのです。
こうした経緯から特に水晶を原料にする印章づくりにおいては、現在でも山梨県がほとんど唯一の産地となっています。
天保年間ごろには、印章づくりの加工場が多数設立され、多くの職人がかかわるようになり、加工技術が発達。
また、原料として、ツゲや水牛なども使われるようになりました。
明治時代になって庶民にも名字が与えられ、個人の身分や財産の管理を行う必要から、急速に印章需要が高まり、これにつれて山梨県のハンコ産業も飛躍的な発展を遂げました。
参考:
伝統工芸青山スクエア(伝統的工芸品産業振興協会)
山梨県の郷土伝統工芸品
山梨県印判用品卸商工業協同組合
甲州手彫印章の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)1月19日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)1月19日 |
商標 | 甲州手彫印章 |
称呼 | コーシューテボリインショー,コーシューインショー |
権利者 | 山梨県印章店協同組合 |
区分数 | 1 |
第16分類 | 山梨県産の手彫り印章【類似群コード】25B01 |