静岡県の地域ブランド商標である川根茶(かわねちゃ)は、平成19年(2007)6月15日、川根茶商組合によって地域団体商標に登録されました。
お茶県・静岡の中でも、さらに高いブランドを誇るのが川根茶です。
京都の宇治、埼玉県の狭山とならぶ銘茶所に数えられるほどです。
川根地区は、静岡県の中部を流れる大井川の中流・上流地域で、地域の90%以上が森林に囲まれる山あいの町。
お茶意外に有力な産業のない土地と言えます。
人が生計を立てていくには厳しい環境が、銘茶の生まれる土壌になったと言われています。
静岡県の地域ブランド商標、川根茶とは
静岡県の中部、大井川の中・上流域で生産されたお茶を川根茶と言います。
その味は繊細にして高貴、芳醇な甘みとさわやかな香りが特徴と言われます。
全国の茶品評会で優勝の常連です。
いったいなぜ川根地区では良質のお茶が生産されるのでしょうか。
背景には、川根の自然環境があります。
昔から、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と言われます。
東海道の難所とされた箱根の山でさえ馬に乗ってもなんとか通行できるけれど、大井川だけは渡れないという意味です。
大井川は氾濫が多い「暴れ川」として知られ、橋を架けてもすぐ流されてしまうため、人間が渡れる橋がありませんでした。
川を渡るには、「川越人」という川渡しの人たちに担がれ、徒歩で超えるしかなかったのです。
それだけ厳しい自然環境ですから、当然、通常の農作物の栽培には不向きです。
しかし、そんな自然環境がお茶の栽培には適していました。
まず、峻険な山々に囲まれ、木々も深いことから、日照時間が短く、昼夜の寒暖差が非常に激しいことがあげられます。
このような条件下では、通常のお茶と比べて葉が薄くなってしまう弱点があるのですが、川根では芽の発生量を抑えることで、一芽に栄養が集中する茶葉の栽培方法「芽重型」を編み出しました。
これにより、昼間のわずかな日照時間で蓄えた光合成による養分を芽がしっかりとため込み、通常より栄養成分の高い茶葉ができます。
もう一つが大井川の存在です。
住民を悩ませてきた大井川ですが、その豊かな水量と、山に挟まれた谷合の地形によって、蒸発する水分が深い霧となってとどまり、茶葉に適度な水分を与えているのです。
静岡の地域ブランド商標、川根茶の歴史
川根茶の起源は定かではありません。
静岡でお茶の栽培が始まったのが、大井川の下流域に位置する本山地区だったことから、自然と、上流にある川根地区に伝わったのだろうと考えられます。
記録にはっきり残るとことでは、慶長7年(1602年)、川根村というところから、租税としてお茶が納められたという記録があることから、このころにはお茶が産業として発達していたことは確かなようです。
1800年代になると、川根地域の生産者は度々宇治を訪れ、すでに高級茶の産地として名をはせていた同地の先達から栽培法、製茶法を学んで戻り、地元の生産者仲間に伝えました。
その後、地域一丸となり品種改良に取り組みました。
努力の末、「川根揉切流」という独自の手揉製法を生み出し、川根茶の評価を決定づけました。
川根茶の商標登録の状況
登録日 | 平成19年(2007)6月15日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月26日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月3日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)6月15日 |
商標 | 川根茶 |
称呼 | カワネチャ |
権利者 | 川根茶業協同組合 |
区分数 | 1 |
第30分類 | 静岡県榛原郡川根町及び川根本町(旧・中川根町及び旧・本川根町)で生産される緑茶【類似群コード】29A01 |