泉州タオルは、大阪タオル工業組合(大阪府泉佐野市上町1丁目3番1号)が、平成19年(2007)3月2日、地域ブランド商標に登録しました。
大阪府の泉州地区はタオルの生産地として知られており、泉州タオルはトップブランドと言っていいでしょう。
伝統工芸産業の多くは安い外国製品に押されて苦戦している状況であり、泉州のタオル産業も同様の問題に突き当たっていましたが、関係者の努力で苦境を脱しつつあるということです。
泉州タオルはいかにしてタオルのトップブランドになったのか、さらに、なぜ復活しつつあるのでしょうか。
大阪府の泉州タオルとは
大阪府の特産品、泉州タオルはおろしたてでも吸水性が高く、肌触りがよいのが特徴です。
この特徴を生みだしている要因は、「後晒し」という泉州伝統の製法にあります。
タオルを製造するときは、織りやすくするため、糸をノリで補強した上、ロウをつけてすべりをよくします。
すると、おろしたてのタオルは水をはじきやすく、肌触りがよくないため、一度洗濯してから使うのが一般的です。
この点で、泉州タオルは、工程の最後に、ノリやロウを洗い流す「後晒し」を行うことで、買ってすぐでも使えるわけです。
大阪府の泉州タオルの歴史
大阪の泉州は国内におけるタオル発祥の地でもあります。
ヨーロッパからの輸入品は明治初期からありましたが、非常に高価なので、襟巻として使っていたほどだったということです。
そこに目をつけたのが、大阪で輸入商社を営んでいた新井末吉です。
輸入品は高価すぎて買う人が限られるけれど、国産化できれば大きなマーケットになると見抜いた新井は、小学校時代の同級生で白木綿の職人だった里井圓治郎に国産タオルの開発を勧めます。
里井は新井の提案をのみ、見本品として提供されたドイツ製のタオルをもとに、製造法を研究。
2年間の試行錯誤の上に、タオル用織機の開発に成功します。
すると、新井が見抜いた通り、タオルは大ヒット商品になるとともに、「泉州のタオル」という商標も拡散していったわけです。
大阪府の泉州タオルはなぜトップブランドなのか
国産タオル発祥の地である泉州は、誕生から120年たった現在でもタオル産地のトップブランドとして君臨し続けています。
現在では、タオル生産は全国に広がり、品質の差もほとんどなくなっています。
それでも泉州タオルのブランドがいまだに強いのは、最初にタオルの商品化に成功したからです。
誰よりも先んじていち早くマーケットを確立することは、いろいろな意味で、有利にブランディングを進められますが、消費者のイメージとしても最初に市場を確立したブランドが非常につよく植え付けられます。
「○○と言えば、○○」という市場の認知を獲得すると、商品の品質や生産力の優位性が必ずしも伴っていなくても、なかなかブランド価値は下がらないのです。
ブランド力の復活の兆し
国内では強いブランド力を築いている泉州タオルですが、安価な外国製品に押されて苦境に立たされている状況は他の産地と同じでした。
そこで、泉州タオルの生産者は安価な海外製品に対応すべく、付加価値の高い製品づくりを志向し、平成13年に、「大阪グリーンタオル生産倶楽部」を発足しました。
製品原材料はもちろん、生産工程においても環境汚染やアレルギーの原因になる化学物質を一切排除した、人と環境にやさしい「グリーンタオル」作りを推進したのです。
これら安心・安全に向けた取り組みに加え、タオル業界以外の産業とのタイアップや、外部デザイナーとの協働などによって、魅力ある製品づくりに着手。
平成22年には新しい品質基準「泉州こだわりタオル品質基準」を策定するなど、産地を上げてブランド展開に取り組みました。
この結果、平成2(1990)年をピークに減り続けていた泉州タオルの生産量は、平成23年に前年プラスに転じると、24、25年と3年連続で増加したのです。
参考:
大阪タオル工業組合
泉佐野市観光サイト
2017 地域ブランドNEWS
泉州タオルの商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)3月2日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)3月2日 |
商標 | 泉州タオル |
称呼 | センシュータオル |
権利者 | 大阪タオル工業組合 |
区分数 | 1 |
第24類 | 泉州産のタオル |
登録日 | 平成28年(2016)8月5日 |
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出願日 | 平成27年(2015)12月15日 |
先願権発生日 | 平成27年(2015)12月15日 |
存続期間満了日 | 平成38年(2026)8月5日 |
商標 | SENSHU\yokkin\TOWEL |
称呼 | センシューヨッキンタオル,センシューヨッキン,センシュー,ヨッキンタオル,ヨッキン,センシュータオル |
権利者 | 大阪タオル工業組合 |
区分数 | 1 |
第24類 | 泉州産のタオル,泉州産のタオル織物,泉州産のタオル地製の身の回り品,泉州産のタオルケット,泉州産のマフラータオル,泉州産のタオル地製のふきん,泉州産のタオル地製の敷布・布団カバー・枕カバー,泉州産のタオル地製の椅子カバー |
出願日 | 平成27年(2015)10月16日 |
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先願権発生日 | 平成27年(2015)10月16日 |
商標 | SENSHU\yokkin\TOWEL |
称呼 | センシューヨッキンタオル,センシュー,ヨッキンタオル,ヨッキン,センシューヨッキン,センシュータオル |
出願人 | 大阪タオル工業組合 |
区分数 | 1 |
第24類 | 顔・体洗浄用タオル,バスタオル,タオル |