沖縄県石垣島の八重山かまぼこは平成20年(2008)2月22日、八重山観光振興協同組合によって地域団体商標に登録されました。
全国的に名前が知られるようになった現在でも石垣島の中だけで販売され、島にこなければ購入できません。
そうすることで、伝統の味と品質、ブランド力を維持する道を選択したようです。
沖縄県の地域ブランド八重山かまぼことは
沖縄県の八重山かまぼこは、石垣島の八重山の近海で捕れた青ブダイなど白身魚だけ原料に作ったかまぼこです。
また、つなぎの卵も全卵を使用しているため、口当たりがやわらかく、ふんわりとした仕上がりでありながら、水分量を抑えて魚肉の比重を高くしており、しっかりとした魚の風味が味わえます。
こうした伝統の製法に加えて、数年前から、同じく地元のブランド食材である石垣の塩だけを使うよう製法を改めるなど、品質の向上に勤めています。
沖縄県全域でかまぼこはつくられていますが、たとえば、本島では近海の魚だけではなく、マグロやカジキマグロを使い、卵も卵白のみを使うなどの違いがあります。
八重山かまぼこは、円筒形が特徴のマルーグヮー、刻んだ野菜をまぜて一口サイズに成型したタラシ揚が有名ですが、そのほか、製造所によっては炊き込みご飯風のものや、ゆで玉子入りのものなど、それぞれに独自のアレンジを加えています。
沖縄県の地域ブランド八重山かまぼこを商標登録するまで
八重山かまぼこは、島という特殊な環境のなかで育まれた食品です。
島外からの材料が入りにくく、また、人の行き来も少ないため、地元で獲れる食材を使って島内でだけ消費される総菜として自然発生したものです。
このため、地元の特産品という認識はなく、積極的に島外へアピールすることも考えていなかったということです。
ところが、沖縄の食や文化が注目される中で、島内の事業者が知らない間に八重山かまぼこの地名度が広がり、すると、沖縄県外の業者が、八重山産のものではなく、味も形状も全く異なる商品を「八重山かまぼこ」という商標で勝手に販売していたことが発覚。
そこで、八重山観光振興協同組合が中心になり、八重山かまぼこの品質とブランドを守るために地域団体商標に登録することを決めたのです。
地域団体商標は、組合や商工会議所、NPOなどが所属する会員に使用させる目的で登録する特殊な商標です。
伝統的な工芸品や食材などを作っている同業者組合が自分たちの製造する商品の商標を守るために登録するのが一般的ですが、八重山観光振興協同組合の場合は、かまぼこ製造とは直接関係のないホテルや旅行業などの異業種も参加しています。
異業種団体によって地域団体商標が登録されるのは制度上可能ですが、非常に異例です。八重山の観光業ではそれだけ、八重山のブランドを共通の財産だと考えているのです。
参考:
沖縄地域知的財産戦略本部
沖縄県の地域ブランド八重山かまぼこの商標登録情報
登録日 | 平成20年(2008)2月22日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月3日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月3日 |
存続期間満了日 | 平成30年(2018)2月22日 |
商標 | 八重山かまぼこ(標準文字商標) |
称呼 | ヤエヤマカマボコ |
権利者 | 八重山観光振興協同組合 |
区分数 | 1 |
第29分類 | 白身魚(ブダイ類)を主要な原材料として石垣島で加工されたかまぼこ【類似群コード】32F01 |