沖縄県の地域ブランド商標である琉球(りゅうきゅう)びんがたは、琉球びんがた事業協同組合によって地域団体商標に登録されました。
沖縄県というと、南国特有の極彩色に彩られた艶やかな民族衣装を思い浮かべる人が多いでしょう。
あの衣装こそ、琉球びんがたです。
びんがたは漢字で「紅型」と書き、びん(紅)は色を、がた(型)は模様を表すとされます。
沖縄で独自に発達した染色法を使った織物のことです。
沖縄県の地域ブランド商標、琉球びんがたとは
沖縄県の琉球びんがたとは、中国の型紙の技法や京友禅の染色法などをベースに、沖縄で独自の発達を遂げた染物です。
顔料や植物染料など様々な染料を使って手染めされます。
複数の色を重ねて模様をつくる鮮やかな「紅型(びんがた)」と、もう一つ、藍一色で染める「藍型(えしがた)」があり、ひっくるめて「琉球びんがた」と言います。
地色は約20色と豊富にあり、そこに草花、鳥、景色などが描かれ、また、王族向けだけに制作された鳳凰や龍をあしらった図案などがあります。
王朝文化の中で育まれ、艶やかさに格式が加わり、その芸術性と技術力は日本中のみならず、世界でも高い評価を受ける、日本を代表する染物の一つと言えます。
沖縄県の地域ブランド商標、琉球びんがたの作り方
沖縄県の琉球びんがたの製法は、型紙を使う「型染め・型付け」と、手で模様を描く「筒引き・糊引き」の二種類の技法に大別されます。
型紙を使った染色法は、日本全国で行われていますが、琉球びんがたの特徴は染料に顔料を使うこと、また、突き彫りによって型紙をつくることです。
「突き彫り」とは、重ねた型紙を彫刻刀で突くように切りながら掘り進める手法のこと。
「筒引き(筒描き)」とは型紙を使わず、布地に直接、手書きで彩色をほどこしていく手法のことです。
生クリームを絞るような円錐形の筒に染料を入れ、先端から染料を絞り出しながら絵を描いていく方法です。筆やハケよりもコントロールが難しいため、筒引きには高い技術が必要です。
沖縄県の地域ブランド商標琉球びんがたの歴史
琉球びんがたが誕生する前、沖縄県にはすでに、婦人の礼装や神事用に、「浦添型」と呼ばれる摺込で染められた衣装が存在していました。
14~15世紀ごろになると、当時さかんに交易していた中国や東南アジアからもたらされた染色技術に、薩摩を通して京や加賀の影響を受け、沖縄独自のものに発展していきました。
とくに、琉球王府がびんがたを保護奨励したこともあって、南国特有の極彩色の豊かさに品格が加わっていきます。
19世紀ごろの記録として、琉球びんがたが中国の福建市場で「東洋花布」として高値で扱われ、大変な人気商品になっていたということです。
第2次大戦で沖縄全土が戦場になり、職人も雲散霧消してしまいましたが、戦後、「沖縄びんがた伝統技術保存会」(現在の琉球びんがた事業協同組合)が結成されたことをきっかけに業界が再興され、貴重な技術の喪失を免れたということです。
参考:
琉球びんがた事業協同組合
那覇市伝統工芸館
琉球びんがたの商標登録情報
登録日 | 平成18年(2006)12月15日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成38年(2026)12月15日 |
商標 | 琉球びんがた |
称呼 | リューキュービンガタ |
権利者 | 琉球びんがた事業協同組合 |
区分数 | 1 |
第24分類 | 沖縄地域に由来する製法により沖縄で生産されたびんがた染めの織物(畳べり地を除く。)【類似群コード】16A01 |