沖縄県の地域ブランド 「琉球泡盛」

ほんのり甘く、濃厚な舌触りと、独特の強い香りが鼻を通り抜ける琉球泡盛。

沖縄県の伝統的なお酒ですが、その歴史はとても古く、深いといわれています。

そのルーツはどこにあるのか、今回は琉球泡盛について調べてみました。

目次

沖縄県の琉球泡盛とは

泡盛のラベルには、銘柄名や原料、アルコール度数の他に「琉球泡盛」と表示されています。

沖縄県内で造られた泡盛だけが、琉球泡盛の商標を名乗ることができます。

製造地が沖縄県内であること以外にも「琉球泡盛」の商標を名乗るためも条件はいくつかあります。

その重要なものの一つが、酒づくりに使う「原材料」と「製造工程」です。

泡盛造りで欠かせない原料は「タイ米」と「黒麹」です。

タイ米を使用する理由は、一般的に食卓に並ぶジャポニカ種のような粘り気がなく、硬質でさらさらしているため、黒麹菌が菌糸を伸ばしやすいことが挙げられます。

次に、泡盛の製造工程についてです。

タイ米と黒麹を使って米麹を作り、それに水と酵母を加えると「もろみ」になります。

これを「全麹仕込み」といいます。

他の酒造りにはない、泡盛独自の仕込み方法です。

2週間ほど発酵させたもろみを蒸留させることで、泡盛は完成します。

出来上がった泡盛は、しっかり管理すれば100年、200年後に飲んでも美味しく味わえる「古酒」に育ちます。

沖縄県の琉球泡盛の由来

タイ起源説

琉球泡盛が沖縄県に伝わった経緯につては、実に多くの人々が研究と考察を重ねていますがまだよくわかっていません。

最も初期に提唱されたのは、沖縄の歴史研究家である東恩納寛惇(ひがしおんな かんじゅん)氏が提唱した「15世紀ごろにタイから沖縄に製法が伝わった」という説でした。

東恩納氏が、1933年に彼の地を訪れた際に、タイの地酒「ラオ・ロン」を飲み、泡盛とそっくりだと気付いたことがきっかけとなっています。

この説は、翌年に発売された同氏の著書「泡盛雑考」で発表され、話題になりました。

現在でも東恩納氏のタイ由来説が有力ではあるものの、疑問視する声もあります。

実は15世紀ごろの琉球は、タイだけでなく東南アジア諸国との交易も行っており、マラッカ産の酒を琉球の商人が大量に購入していたという記録もあったのです。

「泡盛の文化誌」の著者・萩尾俊章氏は、タイのラオ・ロンを含めて、広く東南アジアの酒造りの手法が合わさったものと考えるのが妥当と指摘しています。

中国福建ルート説

1990年代には「中国・福建ルート説」が発表され、注目を集めました。

1993年に沖縄タイムス社の多和田真助記者を中心とするメンバーが泡盛のルーツを求めてアジア各国で行なった調査がきっかけとなっています。

琉球王朝と福建は交易で密接に行き来しており、そして、中国西南地域にも米を原料にする酒造りが行われていた事実。

アジア各国には、発行した酵母がつくる泡の状態を見て酒の出来を判断する習慣があり、同じ習慣は琉球、福建の両方で見られました。

また、福建のお酒は、蒸留する段階で、初留、中留、後留に分類するなど、泡盛の製造法との類似点が多く見られました。

これらの事実から、14世紀以降に中国と密接に交流していた琉球王朝へ、お酒造りの技法が伝わったという説が唱えられたのです。

とはいえ、中国・福建から酒造りの製法が伝わった事実があったとしても、それはタイ源流説を否定するものではない、という意見があります。

タイやマラッカなど東南アジアから伝わった製法と、福建ルートから伝わった製法が、琉球で泡盛に結実したとも考えられるからです。

現在では、東南アジアルートと福建ルートの両方で、交易を目的とした接触により、泡盛造りの技術が伝わってきたのだろうと考えられています。

琉球泡盛はいつから造られていた?

琉球王国の史書には泡盛の期限を示す記録は存在していませんが、薩摩の島津家に残る記録には琉球から届けられた泡盛らしき酒の記述があるそうです。

もっとも古い記録は1575年のものです。

当時、琉球と薩摩には「あや船」という交易船が行きかっていましたが、この年の使者が「60年前のあや船のときと同じ贈り物を持ってきた」と語っていたそうです。

その際に携えていたお酒は

  • 唐焼酎一甕
  • 老酒一甕
  • 焼酎一甕

です。

このうち前のふたつは中国の酒であることがわかっており、最後の「焼酎」というのが泡盛だったのではといわれています。

仮にこの酒が泡盛だった場合、1575年の使者が「60年前と同じように」と語っていることから1515年にも焼酎(泡盛)が贈られていたということになります。

1515年に贈答品にされるほどの風習ができていたのであれば、それ以前から琉球での蒸留酒造りは確立されていたわけで、泡盛は1400年代後半には始まっていたと推定できます。

仮説通りであれば、沖縄の泡盛造りは約600年以上もの歴史があるということになるのです。

参考:
沖縄県酒造協同組合
泡盛の歴史
泡盛ってどんなお酒?
沖縄地域知的財産戦略本部

沖縄県の琉球泡盛の商標登録の状況

登録日 平成18年(2006)12月8日
出願日 平成18年(2006)4月5日
先願権発生日 平成18年(2006)4月5日
存続期間満了日 平成28年(2016)12月8日
商標 琉球泡盛
称呼 リューキューアワモリ
権利者 沖縄県酒造組合連合会
区分数
第33分類 沖縄県産の泡盛【類似群コード】28A01
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