松阪牛(まつさかうし)と言えば、牛肉ブランドの最高峰です。
松阪肉事業協同組合(三重県松阪市大津町993番地 松阪食肉センター内) はじめ、11団体による連名で地域団体商標に登録されており、三重県松阪市を中心に4市、14町、4村において、松阪牛個体識別管理システムに登録された農家が肥育した黒毛和種、未経産の雌牛のみ松阪牛の商標を名乗ることができます。
同協同組合は、「松阪肉(まつさかにく)」としても商標登録しています。
三重県の松阪牛はいかにして、高いブランド力を獲得したのでしょうか。
三重県の松阪牛とは
松阪牛は、三重県内の対象地域で3年以上肥育された未経産(子牛の出産経験がない)の黒毛和種の雌牛と決まっています。
中でも但馬(兵庫県)産の子牛は特別とされています。
これは、松阪牛が伝統的に但馬から子牛を仕入れていたことに由来します。
また、出産経験のない雌牛に限定しているのは、肉質がやわらかく、脂身の融点が低いことがあげられます。
三重県内では子牛を育てていないので、全国の産地から調達しますが、三重県内の対象地域の生産者が肥育している期間がもっとも長く、また最終肥育地であることも重要な条件です。
松阪牛の生産者は、伝統的な肥育法にのっとり、稲わら、大麦、ふすま、大豆粕を中心とする飼料を与え、さらに、牛の食欲を増進させるためにビールを飲ませたり、毛並みをよくするため焼酎をかけたり、血行を促進するため全身を丹念にマッサージするなど、一頭一頭手塩にかけて育てます。
こうした手間のかかる肥育方法を守ることにより、松阪牛の品質は保たれています。
もう一つ、松阪牛の品質とブランド力の秘訣になっているのが松阪肉牛共進会の存在です。
昭和24年から始まった松阪牛のコンテストのことで、毎年11月に開催されます。
松阪牛なら出場できるわけではなく、予選会で本選出場できる50頭に勝ち残らなければなりません。
このように、生産者の中で品質向上を目指して切磋琢磨する土壌を作ることで、松阪牛は常に高い品質が保たれているというわけです。
なお、平成14年に開催された第53回の共進会で優秀賞1席(最優秀賞)を獲得した「よしとよ号」が、史上最高値の5000万円という値をつけました。
銘柄和牛の取引額は1頭あたりおおよそ100万円ということを考えると、どれだけ破格の値段であるかがわかります。
三重県の松阪牛の歴史
牛食肉の習慣がなかった江戸時代、三重県松阪地方では、農耕用など役牛として牛を活用していました。
このころから、但馬産の子牛を導入していたようです。
明治時代になり、肉食の習慣が広がると、役牛としての役目を終えた牛を食肉にまわすようになりました。
特に、役牛として3、4年たったころ、丸々と太って味もよくなり、上質の肉牛として珍重されていました。
その後、食肉の普及が進むと肉牛として本格的に生産されるようになって肥育方法の改良が進められ、品質が高まっていきました。
松阪牛の名声を決定づけたのは、昭和10年のこと、東京で開かれた全国肉用畜産博覧会で最高の名誉を獲得したことによります。
名実ともに、牛肉の最高峰としての名声を獲得し、圧倒的なブランドを確立しました。
平成14年には、牛一頭一頭の血統、生産者情報、肥育情報など30項目にわたる個体情報を管理する、松阪牛個体識別管理システムを全国に先駆けて導入。
また、それまで正確に定まっていなかった松阪牛の定義を統一しました。
これにより、さらに松阪牛の単価が向上したということです。
参考:
松阪牛協議会
松阪市観光協会
三重県ブランド(三重県農林水産部)
JA松阪
松阪牛の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)2月2日 |
---|---|
出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成39年(2027)2月2日 |
商標 | 松阪牛 |
称呼 | マツザカギュー,マツザカウシ,マツサカウシ |
権利者 | 松阪肉事業協同組合、松阪農業協同組合、松阪飯南家畜商協同組合、多気郡農業協同組合、伊勢農業協同組合、他 |
区分数 | 2 |
第29分類 | 三重県下における平成16年11月1日現在での行政区画名としての松阪市、津市、伊勢市、久居市、香良洲町、一志町、白山町、嬉野町、美杉村、三雲町、飯南町、飯高町、多気町、明和町、大台町、勢和村、宮川村、玉城町、小俣町、大宮町、御薗村、度会町のいずれかにおいて肥育された黒毛和種未経産の雌牛又は松阪牛個体識別管理システムに登録された農家によって肥育された黒毛和種の未経産の雌牛の肉【類似群コード】32A01 |
第31分類 | 同上【類似群コード】33D02 |
松阪肉の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)2月2日 |
---|---|
出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成39年(2027)2月2日 |
商標 | 松阪肉 |
称呼 | マツザカニク,マツサカニク |
権利者 | 松阪農業協同組合、多気郡農業協同組合、伊勢農業協同組合、三重中央農業協同組合、一志東部農業協同組合、他 |
区分数 | 2 |
第29分類 | 三重県下における平成16年11月1日現在での行政区画名としての松阪市、津市、伊勢市、久居市、香良洲町、一志町、白山町、嬉野町、美杉村、三雲町、飯南町、飯高町、多気町、明和町、大台町、勢和村、宮川村、玉城町、小俣町、大宮町、御薗村、度会町のいずれかにおいて肥育された黒毛和種未経産の雌牛又は松阪牛個体識別管理システムに登録された農家によって肥育された黒毛和種の未経産の雌牛の肉【類似群コード】32A01 |
第31分類 | 同上【類似群コード】33D02 |