三重県の地域ブランド商標である伊勢茶(いせちゃ)は、平成19年4月13日、全国農業協同組合連合会、三重県茶商工業協同組合、三重茶農業協同組合の3団体による合同で、地域団体商標に登録されました。
三重県は茶葉の栽培面積・生産量において、静岡県・鹿児島県に次いで全国3番目。
あまり知られていませんが、実は日本有数のお茶どころです。
昔からブレンド用として静岡や宇治など他の茶生産地に出荷していたため、一般への知名度があまり高くないのかもしれません。
そこで三重県では、伊勢茶のブランド化に取り組んでいます。
三重県の地域ブランド伊勢茶の特徴
伊勢茶とは、三重県で生産されるお茶の総称です。
すなわち、一口に伊勢茶と言って、一種類ではありません。
南北に長く、海と山に囲まれた三重県では、多様な自然環境の中でそれぞれに適したお茶が生産されています。
代表的なものは、北部の鈴鹿や水沢(すいざわ)など海側の地域でさかんな「かぶせ茶」です。
また中部から南部にかけての山間部では「深蒸し煎茶」の栽培が盛んです。
「かぶせ茶」とは、藁などを茶の木にかぶせることで茶葉に直射日光が当たらないようにして育てる覆下法と呼ばれる特殊な栽培法で生産されたお茶のことです。
「かぶせ茶」の生産量では三重県が圧倒的に全国一位です。
高級茶として知られる玉露と同じ栽培法で、直射日光を当てないことで渋みの元であるカテキンが少なく、うまみ成分であるテアニンが増えるとされます。
「深蒸し煎茶」とは、その名の通り煎茶なのですが、茶葉を加工する際の蒸し時間を通常の倍程度にする製造法を採用しています。
深蒸しにすると青臭さがなくなりコクもでますが、同時に香りが飛んだり茶葉が粉々になったりしてしまうので、長ければいいというものではありません。
三重県の伊勢茶の場合は、茶葉が通常より肉厚のため、深蒸しするようになったようです。
通常、茶葉の収穫は年4回ですが、三重県の伊勢茶は、1年に2回までしか収穫しません。
このため、コクのある味わいが出ると言われています。
ちなみに、その年の最初の収穫を1番茶といい、2回目以降を2番茶、3番茶、4番茶と言います。
したがって、伊勢茶の場合は1番茶と2番茶のみということになります。
三重県の地域ブランド伊勢茶の歴史
三重県の伊勢茶の起源についてははっきりしていませんが、文献により確認できる最古の記録では、900年代の初め頃、三重県四日市水沢にあった飯盛山浄林寺で茶の木が栽培されていたとあります。
水沢は三重県の中でも古くから茶の生産が盛んでした。平安時代に、地元の僧侶が唐から伝えられた茶の木を植えたのがきっかけだったということです。
また、室町時代には、華厳宗中興の祖と言われる名僧、明恵上人が伊勢の川上に茶の木を植えたとする記録があります。
近代における茶産業発展の礎を作った人物として有名なのが、大谷嘉兵衛氏です。
伊勢国飯高郡(現在の三重県松阪市)の出身で、横浜の伊勢屋での奉公を経て、海岸通りに製茶業を開業。外国人相手の茶の販売で事業を拡大し、その後本格的な貿易業に進出して成功しました。
伊勢茶に限らず、世界に日本茶を広めた立役者で、茶を重要な日本の輸出品にまで育てあげた交易から「茶聖」と称賛されます。
現在、三重県では、生産者団体と茶商工業団体、茶市場等が協力して三重県茶業会議所を結成。
三重県における茶産業発展に向けて、「安全安心な伊勢茶づくり運動」を推進し、生産履歴の管理、製茶工場の衛生管理などの安全安心対策を強化しています。
さらに、平成14年には、伊勢茶の安全性や品質を確保するためのガイドラインを独自に設けるなど、伊勢茶のブランド化に取り組んでいます。
参考:
三重県茶業会議所
三重県 農林水産部 フードイノベーション課
伊藤園
すいざわ
伊勢茶の商標登録の状況
登録日 | 平成19年(2007)4月13日 |
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出願日 | 平成18年(2006)7月25日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)7月25日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)4月13日 |
商標 | 伊勢茶 |
称呼 | イセチャ |
権利者 | 全国農業協同組合連合会、三重県茶商工業協同組合、三重茶農業協同組合 |
区分数 | 1 |
第30分類 | 三重県産の緑茶【類似群コード】29A01 |