京都府の地域ブランド商標である北山杉は平成20年2月15日、京都市森林組合など5団体の連盟によって地域団体商標に登録されました。
北山杉は木材として良質であるだけでなく、手間暇をかけて育てられる杉林が独特の美しい景観を生み出し、この景観は川端康成の作品『古都』の舞台としても有名になり、貴重な観光資源ともなっています。
京都府の地域ブランド北山杉とは
北山杉の3つのポイント
京都府の地域ブランド北山杉の特徴は、1.通直、2.完満、3.無節です。
- 直通とは、まっすぐ成長し、曲がりやよれが少ないこと。
- 完満とは、木の根元から先まで幹の太さが均質なこと。
- 無節とは、節が少ないこと。
いずれも良質な木材の条件です。
このように北山杉が高い品質を誇っているのは、北山地域の林業に独特な「台杉仕立て」と呼ばれる育林方法にあります。
良材に成長する特殊な遺伝子を持った木
台杉仕立てとは、一つの株から数十本~百本以上もの幹を育てる技法です。
植林の回数を減らすともとに、収穫のサイクルを早め、しかも良質な木材を作ることに成功しています。
しかし、台杉仕立てはどんな杉でもできるわけではありません。
一か所に密集して植えても真っ直ぐに伸び、しっかり育つ特殊な遺伝子を持った杉が北山に存在したからこそ可能となった技法です。
すべての北山杉の元になったという特殊な遺伝子を持った母杉は、京都府内の中川八幡宮に植えられ、樹齢500年を超えてもなお真っ直ぐに伸び続けたということです。
京都府の地域ブランド北山杉の歴史
北山杉の歴史はおおそよ600年前にさかのぼります。
ときは南北朝時代、現在の京都府北区中川を中心とした地域で、から磨(みがき)丸太(北山丸太の一種)が作られるようになったという記録があります。
その独特で光沢のある木肌から、床柱を始め内装用の建築用材として重用され、桂離宮、修学院離宮、大徳寺や鹿苑寺などの有名建築物にも使用されています。
戦国時代になり、千利休によって茶の湯文化が完成されると、北山杉は茶室などの数寄屋建築用に欠かせない存在になり、床柱と言えば北山杉と言われるほどになったのです。
明治期になると、突然変異で表面にコブ状の凹凸(絞り)ができる新種、「天然出絞」が発見されました。
通常、こぶがある木材は欠陥品ですが、北山杉の場合は見た目にも美しいこぶができるのが特徴で、かえってこぶが味となり、高級品として珍重されるようになったのです。
天然出絞は貴重な素材でしたが、大正時代に人工的にこぶをつくる技術(人造絞り)が開発されたことで産量が可能となり、一般に普及していきました。
こうした技術開発により、北山杉は平成10年に京都府知事より「京都府伝統工芸品」に指定されました。
京都府の地域ブランド北山杉の商標登録情報
登録日 | 平成20年(2008)2月15日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成30年(2018)2月15日 |
商標 | 北山杉(標準文字商標) |
称呼 | キタヤマスギ |
権利者 | 京都市森林組合、京北森林組合、美山町森林組合、日吉町森林組合、八木町森林組合 |
区分数 | 1 |
第19分類 | 京都府北山地方及びその周辺で植林した杉の原木【類似群コード】07C01 |