豊岡鞄は兵庫県豊岡市の地域ブランドです。
地域団体商標として商標登録されたのは2006年11月、出願したのは兵庫県鞄工業組合です。
兵庫県は靴や鞄の製造がかさんな地域ですが、中でも豊岡市は鞄づくりに並々ならぬこだわりがあるようです。
そのこだわりの原点は遠く奈良時代に逆ぼるそうです。
兵庫の豊岡鞄とは
兵庫県の豊岡市は鞄の製造が盛んで、さらに、豊岡産の鞄の中でも、兵庫県鞄工業組合の審査に合格した製品のみが豊岡鞄の商標を使うことを許されています。
兵庫県鞄工業組合による審査は、企業審査と製品審査の2段階審査方式です。
まずは、兵庫県鞄工業組合員が認める製造技術に達しているかどうかの審査が行われ、合格すると組合への加入が認められます。
組合員になるにあたっては、ブランドコンセプトを守るマニフェストに署名・捺印し、宣誓を行うという念の入れよう。
さらに、企業審査に合格した企業が製造した製品でも、製品審査を受けなければならない決まりです。
こうした厳しい審査の背景には、豊岡鞄という商標は豊岡市全体の共有財産だという考え方があります。
携わる人、一人ひとりが責任を持って品質を守り、ブランドのコンセプトを表現していくことによって、地域ブランドが育まれていくのです。
兵庫の豊岡鞄の由来
豊岡の鞄製造の歴史は遠く1000年前までさかのぼります。
奈良時代から存在した、籐や柳で編んだカゴやインテリアの製造技術である柳細工がその原点だと言われます。
とくに、豊岡では行李の生産が盛んでした。
行李とは、衣類や家財道をしまう収納ケースで、旅行や引っ越しのときは、荷物を入れたまま持ち運びできるというものです。
つまり、いまでいうカバンの原点と言えるわけです。
実際に、豊岡市の鞄職人は、行李の製造技術を使って西洋風の鞄を作っています。
1881年に開催された国内の名産品を展示する内国勧業博覧会で、豊岡市の職人が革バンドで結束するタイプの行李鞄が出品しています。
これが豊岡鞄のはじまりとなりました。
その後、豊岡の職人たちはこぞって鞄製造にチャレンジするようになりました。
近代に入って鞄製造にミシンが導入されるようになると、布やファイバー、皮革などを使った鞄の生産が盛んになり、やがて日本有数の鞄産地となっていくのです。
産業衰退の危機を地域ブランド化で乗り切った兵庫の豊岡鞄
鞄製造の一大産地として順調に発展していた豊岡市でしたが、高度成長期が終わりを告げるようになると一転して厳しい状況に陥りました。
輸入品の増加や流通業界の変化がその原因です。
市内の鞄製造業者の生産高は最盛期から比べて一時的に約3分の1にまで低下しました。
危機を打破するために、兵庫県鞄工業組合は市場活性化策として「豊岡グラフィティー」や「豊岡トラディショナル」を掲げるなど、地域名である「豊岡」を全面に出した産業改革やマーケティング、プロモーションを展開。地域ブランド化によって危機を乗り切ろうとしたのです。
こうした努力の結果、豊岡鞄は地域ブランドとして認知され、鞄製品としては日本で最初に地域団体商標として商標登録されたのです。
豊岡鞄の商標登録の状況
登録日 | 平成18年(2006)11月10日 |
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登録公報発行日 | 平成18年(2006)12月12日 |
公開日 | 平成18年(2006)4月27日 |
出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
更新申請日 | 平成28年(2016)6月13日 |
更新登録日 | 平成28年(2016)6月21日 |
存続期間満了日 | 平成38年(2026)11月10日 |
商標 | 豊岡鞄(標準文字商標) |
称呼 | トヨオカカバン |
権利者 | 兵庫県鞄工業組合(兵庫県豊岡市) |
区分数 | 1 |
第18類 | 豊岡産のかばん類【類似群コード】21C01 |