兵庫県の淡路島は、日本三大瓦産地にも数えられる瓦の名産地です。
その淡路島で生産される瓦が淡路瓦です。
兵庫県全体の瓦生産の99%が島内に集中しているほどです。
淡路島の一部地域だけで生産されていた淡路瓦が、どのようにして地域ブランドに発展していったのでしょうか。
兵庫県の淡路瓦とは
兵庫県の淡路瓦とは、兵庫県の淡路島で生産される瓦です。
いぶし瓦、陶器瓦、窯変(ようへん)瓦の3種類を主に生産しており、特に、いぶし瓦の生産量では全国1位を誇ります。
いぶし瓦は、焼成の際に空気を完全遮断し釉薬を使わないのが特徴。
しっかりと燻すことで表面に炭素膜を形成し独特の渋い色が浮き出ます。
陶器瓦は、釉薬を掛けて焼き上げるため、色が鮮やかになり、経年変色しないのが特徴です。
窯変瓦は、いぶし瓦とも陶器瓦とも違い、釉薬を使わず、燻すもしません。
炎の加減だけで焼き色を調整するという淡路瓦における独特の製法で造られます。
兵庫県の淡路瓦は本来の屋根材としての用途以外にも、景観材としての敷瓦や小端立て用瓦・ブリックといった様々な用途に使われます。
兵庫県の淡路瓦の歴史
淡路瓦の起源は、慶長15年(1610年)、時の姫路城主であった池田輝政の三男忠雄が播州瓦の名工清水理兵衛を呼び寄せ、瓦を焼かせたことが始まりになったと言われています。
清水が播州に帰った後も、技術を学んだ弟子たちが松帆(南あわじ市)・尾崎(淡路市)・阿万(南あわじ市)・釜口(淡路市)などで瓦の製造を広め、現在の淡路瓦製造の中心地である津井地区にも技術が伝えられたということです。
淡路島で瓦づくりが盛んになった背景には、この地の土が瓦製造に適していたことが挙げられます。
特に南あわじの旧西淡地区は原料になる良質な粘土に恵まれ、使い勝手の良い原料土を確保することができました。
江戸時代に入ると船で大量輸送が可能になるとともに、江戸の建築ラッシュによって瓦の需要も急増し、瓦産業全体が大きく発展し、現在に至っています。
兵庫県の淡路瓦のブランディングについての考察
何かのきっかけで、ひとつの地域に複数の同業者が集まり始めると、それが呼び水になりさらに同業者を呼び寄せます。
そして情報の交流が密になり、切磋琢磨による技術的なブレイクスルーや、品質、生産力の大幅な向上が起こりやすくなります。
同時に、物流面の整備や行政との取り組みが進み、さらに、労働力の安定的な供給体制、周辺産業の発達といった基盤が整い、地域と産業が結びついてブランド化されるという道筋をたどります。
現代でも、電気街、および、アニメやゲームなどのサブカルチャーの集積地として秋葉原が発達した例があります。
日本の伝統的な地域ブランドは、このような経緯で発展していくものが多いですが、淡路瓦の場合は、島という独特の環境がより濃い文化をはぐくんだと考えられます。
また、淡路島は「島」の割には適度な広さがあり、さらに神戸や大阪といった大都市に近く、当時の物流の主力だった海運の便に恵まれているなど、瓦産業の発展に好都合な土地柄だったと言えます。
参考:
淡路瓦工業組合
南あわじ市
屋根相談(一般社団法人日本住宅工業管理協会)
兵庫県の淡路瓦の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)3月9日 |
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出願日 | 平成18年(2006)5月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)5月1日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)3月9日 |
商標 | 淡路瓦 |
称呼 | アワジガワラ |
権利者 | 淡路瓦工業組合 |
第19類 | 淡路島で生産された粘土かわら |