広島県の地域ブランド「福山琴(ふくやまこと)」

広島県は琴の名産地であり、その生産量は全国の約7割を占めるほどです。

現在、「福山琴」は、福山邦楽器製造業協同組合(広島県福山市三吉町三丁目2番8号)によって地域団体商標に登録され、ブランド化が図られています。

広島県福山市ではなぜそれほど琴の生産が盛んになったのでしょうか。

目次

広島県の福山琴とは

広島県福山市で琴の生産が行われるようになったのは、いまから400年前、江戸時代初期に、かつて広島県福山市に存在した福山藩の初代藩主、水野勝成の存在が大きく影響しています。

水野勝成は戦国武将でしたが、文化人としての顔もあり、戦国の世が終わって平和な治世になると、自らも俳諧や能楽を親しみ、藩内全域で文化事業をおおいに奨励しました。

勝成に続く歴代の藩主も初代に倣い、詩や歌舞を奨励したことから、城下町では歌謡、音曲が盛んに行われたといいます。

こうしたベースがあった中で、江戸の末期になると琴の名手、葛原勾当が登場。

その活躍とともに、福山琴の名声も広がっていきました。

同時期、菅波甚七によって琴の製造技術が確立され、福山琴は生産の常に第一線に立ち続け、今日の地位を築いていったのです。

広島県の福山琴のブランド力の考察

広島県の福山市が琴の生産で江戸時代から常に第一線を走っている理由は、琴の需要を創出する基盤として、音楽に親しむ文化を醸成したことにあります。

琴は生活必需品ではないので、そもそも音楽というベースなくして、需要が発生することもありません。

したがって、琴を奏でるという習慣がない地域では、琴の生産技術も生まれようないわけです。

やがて、福山を発信地として、音楽の文化がまわりに波及していくことになりますが、先行する福山では常に先端の技術をリードできるわけで、“琴の本場”としての地位を確立したのは必然でした。

こうなると、他産地は追従するのが極めて難しくなります。

広島県の福山市では、現在も琴を始めるとする楽器の演奏会を盛んに行っており、たとえば、毎年夏には、「全国小・中学生箏曲コンクール」を開催しています。

製品を広める基盤として、その製品によって生まれる新たな価値を生みだしていくという意味では、アメリカのアップル社が巧みな戦略を展開したことで有名です。

いわゆるパソコンを世界で初めて商品化に成功したがアップルであり、i-Macでパソコンを個人の便利な道具として使うという習慣を根付かせ、i-podでは、好きな音楽を自分で自由に組み合わせて好きなときに鑑賞する文化を、i-phoneでは、携帯電話を通話の道具からネットワーク端末に変えました。

アップル社の製品によって新たな楽しみ、生活習慣を手に入れた人たちはその製品を熱狂的に支持し、同社の製品と同等の品質のものが登場しても、ブランドへの支持は変わらなかったのです。

参考:
ふくやま観光・魅力サイト
伝統工芸青山スクエア
広島県庁
BUYひろしま

福山琴の商標登録情報

登録日 平成18年(2006)12月1日
出願日 平成18年(2006)4月5日
先願権発生日 平成18年(2006)4月5日
存続期間満了日 平成28年(2016)12月1日
商標 福山琴
称呼 フクヤマコト
権利者 福山邦楽器製造業協同組合
区分数
第15類 福山市で生産された琴
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