岐阜県の地域ブランド岐阜提灯(ぎふちょうちん)は、平成18年(2006)12月1日、岐阜提灯協同組合によって地域団体商標に登録されました。
提灯と言えば、昔の懐中電灯のようなもので、暗い夜道を迷わないよう足元を照らして歩いていたような情景が浮かびます。
しかし、もともとは実用品ではなく祭礼や行事に使われた装飾品として発展したものだそうです。
中でも岐阜提灯は優雅な風情を持つ提灯界の高級品として名をはせます。
いかにして岐阜提灯は発展してきたのでしょうか。
岐阜県の地域ブランドの岐阜提灯とは
デザインに工夫を凝らした高級インテリア
岐阜提灯は、デザインに凝ったものが多く、明かりとりというより、主に観賞用、インテリア、祭礼用に用いられる高級品です。
細い竹ヒゴを張型に合わせてらせん状に巻きつける伝統の製法で成型した骨組みに、ごく薄い和紙や絹を張り、秋草や風景、美人画など優美な模様を描いてあるのが特徴。
絵や模様は、絵師が火袋(ひぶくろ=提灯の本来のこと)に直接筆で描く方法と、専用の型紙を使ってすり込む方法がありますが、いずれにしても職人の手で一つひとつ手間暇かけて作られます。
さらに、本体だけではなく、台や枠に使われる木製の部材にも、顔料を厚く塗りつけて立体的な模様を描く「盛り上げ」など、伝統の技術が随所に使われています。
通産省の伝統的工芸品に指定
伝統的な吊り下げ型や据え置き型に加えて、火袋がくるくると回転するものや、特別に豪華な装飾を施したもの、また洋風のランプ型にアレンジしたものなど、多様な種類があるのも岐阜提灯ならではです。
岐阜県が美濃と呼ばれていたころから提灯づくりは行われていました。
岐阜はその昔から竹の産地であり、また、国の重要無形文化財でもある「美濃和紙」も持っています。
このため、紙と竹を原料とする提灯や和傘の生産が盛んになり、競い合って技術を磨いていったようです。
平成7年4月には、経済産業大臣により伝統的工芸品の指定を受けています。
岐阜県の地域ブランドの岐阜提灯の歴史
提灯は、本体の生産に手間暇かかる上に、ローソクが高価なものだったため、貴族階級で主に使われるものでした。
一般に普及するようになったのは、ローソクが安価に入手できるようになった江戸時代以降です。
お盆の際に仏前に備える献灯具などの儀式用、あるいは、日常の照明器具の一つとして使われるようになり、需要が爆発しました。
岐阜提灯が発祥したもの江戸時代初期の17世紀頃と言われています。
ただし、正確な起源については、慶長年間(1596~1615)説と慶安3年(1650)説の二つがあり、いまだにはっきりとわかっていないということです。
いずれにしても、すでにこの頃、尾張藩への献上品として岐阜提灯が使われていたことがかわっています。
初期の岐阜提灯の様式は定かになっていませんが、宝暦年間 (1751~1763)に現在の岐阜提灯の原形が誕生したと言われています。ただし、形はできていますが、まだ彩色はほどこされていません。
岐阜提灯の大きな特徴である優美な彩色のもので始めたのは文政年間 (1818~1829)です。
その後、一時期低迷していた岐阜提灯でしたが、明治11年 (1878)、明治天皇が岐阜市に行幸した折りに、岐阜提灯について知り、その後、大量に買上げたことから「献上品」としての箔がつき、岐阜提灯業界再興のきっかけになったということです。
岐阜県の地域ブランドの岐阜提灯の商標登録情報
登録日 | 平成18年(2006)12月1日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成38年(2026)12月1日 |
商標 | 岐阜提灯 |
称呼 | ギフチョーチン |
権利者 | 岐阜提灯協同組合 |
区分数 | 1 |
第11分類 | 岐阜地方に由来する製法により岐阜地方で生産されたちょうちん【類似群コード】19B24 |