福島県の地域ブランド商標である南郷トマト(なんごうとまと)は、平成19年(2007)1月5日、会津みなみ農業協同組合(2016年12月19日現在は、会津よつば農業協同組合に統合されている)によって地域団体商標に登録されました。
南郷トマトは、福島県南会津郡下郷町・南会津町・只見町で生産され、会津みなみ農業協同組合のトマト選果場において選別出荷されるトマトのことです。
高値で取引されるトマトとして知られています。
ブランドを確立するまでには、行政、農協、地元生産者の一体した努力が背景にありました。
福島県の地域ブランド商標南郷トマトとは
福島県の中でも標高の高い南会津地域に特有の昼夜の気温差が激しい環境と生産者の努力によって、「日本一の味と品質」と称されるトマトです。
糖度が高く身が引き締まり、甘みが強いのが特徴です。
南郷トマトだけを使った100%南郷トマトジュースも商品化されており、また、地元では南郷トマトを使ったトマトラーメンも人気。
大手ファーストフードチェーンのモスバーガーが、期間・地域限定で、南郷トマトを使ったバーガーを商品化しています。
南郷トマトの商標の由来は、昭和37年にトマトの品種改良に向けた取り組みが行われた旧南郷村(現在の南会津町南郷地区)にちなんだものです。
現在、すべての南郷トマトは、減農薬、減化学肥料により栽培されています。
収穫したすべてのトマトは福島県南郷地区の選果場に集められ、糖度センサーによる検査で規定の糖度に達したものだけを選別。天然の雪室冷蔵庫で保管し、鮮度を保ったまま出荷されます。
福島県の地域ブランド商標南郷トマトの歴史
初期段階、品質はいいが、生産量の少なさがネック
価格の低迷により危機に瀕する農業の窮状を打破するため、行政、農協、生産者が一体となった取り組みとして、昭和37年、安定した収益を上げられる新たなトマトを作る計画がスタートしました。
このとき手を挙げたのは、福島県の旧南郷村で農業に取り組む14名。
この14名によりトマト研究部が結成され試験栽培が開始されました。
昭和41年から伊南村、只見町の農家も参加し、3カ町村計29名の生産者により、新たに南郷トマト栽培組合が結成されました。
村の支援を受けてトマト栽培用の水田が改善され、作業効率が向上し、土壌を汚染する病害の被害が減少。
また、ハウスによる試験栽培も始まりました。
昭和48年になるとさらに栽培地が広がったことを受けて、市区町村の枠を超えて参加できる南郷トマト生産組合が結成されます。
このころになると、南郷トマトの品質は市場で認知されるようになりますが、まだまだ生産量は少なく、出荷額は組合全体でやっと1億円ほどに達したところです。
選果場の充実、生産者の拡大で徐々に改善
昭和52年、「品質は日本一だが生産量の少なさでは世界一」と市場関係者に揶揄された生産量の少なさを改善するため、栽培面積を7.2haから17.6㏊に大幅アップ。
生産者に参加する農家を拡大する努力を続け、1年間で63人から145人へと一気に拡大しました。
昭和54年、南郷地域独自の栽培方法として「アンブレラ栽培」が考案されます。
アンブレラ栽培は、傘上のパイプ支柱を並べて、そこに透明なシートをかぶせる方法で、ビニールハウスに比べて設置費用が安いのが利点です。
ただし、雨除けにはなるが雪などの災害に弱いアンブレラ栽培はその後徐々になくなり、現在ではパイプハウスに置き換えられていっています。
名実ともに日本一のトマトの称号を獲得
品種改良の努力を続けるとともに、選果場の供給力の向上を図るなど、流通面での整備を進めることで新たな生産者も加わり、平成6年には販売額が初めて10億円の大台にのりました。
近年では、市場関係者の評価はもとより、一般の認知度も高まり、こうした成果を受けて、平成27年、南郷トマトの取り組みは、第44回日本農業賞大賞を受賞。
名実ともに、日本一のトマトの称号を獲得したのです。
参考:
南郷トマト振興協議会 南郷トマトって?
歴史 ~南郷トマトのあゆみ~
極上の会津プロジェクト協議会
南会津町役場
会津みなみ農業協同組合
「JA会津みなみにおける新品種『桃太郎ギフト』の栽培」タキイ最前線 2009冬春号
「第1次南会津町農業振興計画」南会津町農林課農政係
南郷トマトの商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)1月5日 |
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出願日 | 平成18年(2006)5月30日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)5月30日 |
存続期間満了日 | 平成39年(2027)1月5日 |
商標 | 南郷トマト |
称呼 | ナンゴートマト,ナンキョートマト,ミナミサトトマト,ナンゴー,ナンキョー,ミナミサト |
権利者 | 会津よつば農業協同組合 |
区分数 | 1 |
第31分類 | 福島県南会津郡下郷町・南会津町・只見町で生産され会津みなみ農業協同組合のトマト選果場において選別出荷されるトマト【類似群コード】32D01 |