福岡県の地域ブランド商標である八女提灯(やめちょうちん)は、平成19年(2007)4月20日、八女提灯協同組合によって地域団体商標に登録されました。
福岡県の八女市をはじめ、柳川市、筑後市、久留米市、みやま市、八女郡広川町、八女郡立花町で生産されています。
全国的に一般化している一本の竹をらせん状に巻いた骨組みの構造は八女提灯が発祥。
現在でも福岡県が提灯生産量日本一です。
福岡県の地域ブランド商標、八女提灯の特徴
福岡県の地域ブランド商標である八女提灯は、八女市で生まれた伝統の製法によって製造されています。
もともとは八女郡の福島町で生まれたことから、福島提灯と呼ばれていた時代もありました。
当初は実用的なものでしたが、薄手の紙を使って透過性を高め、表面に山水、草木、花鳥などの彩色を施したことから、夏季の涼み提灯として重宝されるようになりました。
現在では盆提灯を中心に、住吉提灯、大内行灯、御天丸、博多長、門提灯など複数種類が生産されています。
福岡の地域ブランド商標、八女提灯の歴史
八女提灯は文化年間(1804~18)に、福岡県八女郡福島町の提灯職人・荒巻文右衛門が制作したものが最初だと言われています。
白地に無色だった提灯の表面にサザンカやボタンなど仏花を描き、場提灯として売り出したところ人気になり、当初は福島町からとって「福島提灯」と呼ばれていました。
この提灯がよく売れたため、真似する職人が続出。
提灯職人以外の新規参入も増えたことで、八女郡内で提灯産業がにわかに発達しました。
さらに50年後、安政年間(1854~60)に八女提灯は飛躍的な進化を遂げます。
文右衛門と同じ福島町に住んでいた職人・吉永太平が、骨組みの竹を細く割いて、一本の竹をらせん状に巻いて本体の構造をつくる「一条らせん式」を考案しました。
これが現在の提灯の基本構造になっています。
提灯が軽くなっただけではなく、使わないときは折りたためるという画期的な発明でした。
さらに、張り紙を透過性の高い薄手のものに変え、素朴な仏花だけでなく、山水画や花鳥画などの鮮やかな絵を描いた改良版を開発しました。
デザイン性が増したことで、夏の夕涼み用のおしゃれな小道具として重宝されるようになり、九州全土に知れ渡る人気商品になりました。
とはいえ、一個一個の火袋に手書きで丁寧に描画彩色する手法のため、大量生産に向かない商品でした。
改良に乗り出したのは太平の実弟・伊平です。
早描き法を考案して製造時間を大幅に圧縮。
大量生産できるようになり価格を下げたところ、爆発的に売れるようになりました。
このころになると、製造地が福島町から八女郡全域に広がったことから、いつしか八女提灯と呼ばれるようになっていました。
現在では安い外国産に押され生産量も低下傾向にありますが、伝統の手法を継承しつつ新たな商品づくりにも乗り出しています。
平成13年7月3日には、経済産業大臣によって日本の伝統的工芸品に指定されています。
参考:
八女商工会議所
伝統的工芸品産業振興協会
八女市茶のくに観光案内所
提灯雑学情報館
KOGEI JAPAN
八女提灯の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)4月20日 |
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出願日 | 平成18年(2006)7月26日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)7月26日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)4月20日 |
商標 | 八女提灯 |
称呼 | ヤメチョーチン |
権利者 | 八女提灯協同組合 |
区分数 | 1 |
第11分類 | 八女地方に由来する製法により福岡県八女市・柳川市・筑後市・久留米市・みやま市・八女郡広川町・八女郡立花町で生産された提灯【類似群コード】19B24 |