福岡県の地域ブランド商標である合馬たけのこ(おうまたけのこ)は、平成19年(2007)4月20日、北九州農業協同組合によって地域団体商標に登録されました。
福岡県北九州市といえば、茨木県から東海道を経由して西日本の太平洋沿岸地帯をつなぐ、いわゆる“太平洋ベルト地帯”の西端に位置し、日本4大工業地帯の一角をなす工業の街というイメージが強いと思いますが、実は、農業も盛んな地域です。
中でも、北九州の春の味覚を代表する合馬たけのこは高値で取引される高級品として知られています。
福岡県の合馬たけのことは
合馬たけのこが栽培されている福岡県北九州の竹林は、市町村単位で日本一の栽培面積を誇り、その年間生産量は約3200tに及びます。
福岡県北九州市でこれだけたけのこの生産が盛んなのは、合馬地区の土壌が、たけのこの栽培に適しているとされる粘土質の赤土だからです。
通常の農作物の栽培には適さない水はけの悪い土壌が、竹の栽培には最適だとされます。
合馬のたけのこは、食用のたけのことしては一般的な孟宗竹ですが、ここで育ったものは、えぐみが少なく、香り、味、歯ごたえ、どれをとっても一級品。新鮮なものは生でも食べられるほどです。
関西地区では、昔から合馬たけのこが最高級品として高値で取引されています。
さらに、たけのこといえば春先のわずかな間にだけ食べられる旬の食材でしたが、合馬では品種を増やし、夏にとれる緑竹や秋にとれる四方竹なども栽培しています。
さらに、保存のきく干したけのこを商品化するなど、一年を通してたけのこを消費を促進するための取り組みをしています。
福岡県の合馬たけのこの歴史
福岡県北九州市合馬地域でたけのこの栽培が始まったのは、江戸時代の終わりごろだとされています。
当初は地元で消費されるのみでしたが、昭和30年代になるとたけのこの水煮を缶詰する工場が建設され、県外にも出荷されるようになりました。
さらに、昭和52年、国の特用林産物生産流通対策事業を受けて、竹林改良の取り組みがスタート。
これにより、生産が徐々に拡大していきました。
合馬たけのこの評判が広がり、高値で取引されたものが大阪や京都の料亭で出されるようになって、ブランド価値が高まったのは昭和60年頃のことです。
意外に新しい地域ブランドだったのです。
生産者は、本格的に地域ブランドとして育成することを目指し、平成9年、「合馬たけのこ振興会」を組織化しました。
こうした活動が評価され、平成16年には、全国林業経営推奨行事で農林水産大臣賞、農林水産祭で内閣総理大臣賞を受賞しています。
福岡県の合馬たけのこのブランド力の秘訣
福岡県北九州市で獲れる合馬たけのこが高い評価を受けるのは、たけのこ栽培に適した土壌があるわけですが、それだけが理由ではありません。
生産者による栽培方法の改良、現在でも連綿と行われている栽培管理に対する努力があります。
合馬地区の生産者は代々にわたって生産技術を高め、生産する竹の本数、使う肥料などの研鑽を深めてきました。
中でも重要なのが「客土」という作業です。
客土とは、たけのこが目を出す前に、地下茎の上に土を10~20センチほど被せることを言います。
もともと、合馬の土壌はたけのこ栽培に適した粘土質の赤土ですが、さらに盛り土で覆ってやることで、柔らかく、適度に水分を保った中でたけのこの芽がはぐくまれます。
いわば、たけのこのベッドです。
竹が群生し、傾斜が多い竹林には重機が入れないため、すべて手作業で行われる重労働ですが、こうした努力の末に質のよいたけのこが育つわけです。
参考:
北九州市
北九州市時と風の博物館(北九州市広報室報道課)
リビング福岡・リビング北九州
福岡県観光連盟
合馬たけのこの商標登録の状況
登録日 | 平成19年(2007)4月20日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)4月20日 |
商標 | 合馬たけのこ |
称呼 | オーマタケノコ |
権利者 | 北九州農業協同組合 |
区分数 | 2 |
第29分類 | 北九州市合馬産のたけのこを使用した穂先たけのこの水煮,筍水煮,筍缶詰・瓶詰め及び袋詰【類似群コード】32F04 |
第31分類 | 北九州市合馬産のたけのこ【類似群コード】32D01 |