愛媛県の伊予と言えばみかんなど柑橘類の生産地としても有名ですが、それだけではありません。
実は、栗も特産品の一つ。
とくに、伊予市の中山町を中心に生産されている、その名も「中山栗」は、大玉で味もよく、“日本一の栗”とも称されています。
愛媛県の中山栗とは
愛媛県の中山栗とは、大粒で上品な甘みが広がるのが特徴です。
愛媛で栗の産地となっている中山町一帯の中山間地は、結晶片岩、褐色性森林土壌、黄褐色性森林土壌が広がり、栗栽培としては恵まれた環境を備えています。
加えて降水量が1600ミリ前後と気候の面でも栗栽培に非常に適しており古くから盛んに栽培が行われていたのです。
中山栗の中でも特選品は高い評価を受けています。
管理が行き届いた若木園をJAの技術員が指定し、指定を受けた園で栽培されたものだけが特選品として出荷されます。
選果場では、専任の評価員によって特選品の鮮度や熟度、外観評価に加えて栗の味を決定する粉質程度を厳しくチェックを行います。
園地の評価と指定、鮮度や熟度、外観チェックに味評価といくつものチェック項目をクリアしたものだけが中山の特選栗として全国へ届けられます。
愛媛県の中山栗の歴史
愛媛県の中山栗は、日本最古の農業書と言われている新民鑑月集の記述によると16世紀から17世紀にかけて栽培が始まったとされます。
江戸時代には寛永年間(1624年~1643年)に、当時の大洲城主である加藤泰興が参勤交代の際中山栗を将軍家光に献上したところ賞賛を受けたという言い伝えが残っています。
明治時代に入ると中山栗は商品価値が高まり換金できるようになったことから次第に園地化されていきます。
大正時代に入ると地区ごとに組合が組織化され、出荷が一元管理されるようになり、愛媛県全体に栽培が広がっていきました。
昭和になると、中山町の年間生産量は10万貫(375トン)を超えるようになり、本格的な農業指導農場も設立され、品質の向上と生産の安定化が図られるようになり、現在に至っています。
愛媛県の中山栗のブランド力の考察
中山栗の評価が高いのは、愛媛県の土壌や気候風土が果実栽培に適していることはもちろんですが、良品を厳選した特選品を上位ブランドとして位置付けているからだと思われます。
これは企業のブランディングでもよくやる手法で、「レギュラー商品の上位ブランドとしてプレミアブランドを位置づけ、採算を度外視した高品位商品を手間暇かけて特別につくる。」というものです。
こうしたプレミアブランドは、生産数も限られ、しかもコスト面で合わないので、全国ブランドを展開するナショナルブランドメーカーにとっては事業モデルに合致しません。
ではなぜ行うのでしょうか。
それは、メーカーとしての技術的なレベルを消費者に印象付けるためと、特選品を出すことでレギュラー品のブランド価値を引き上げるためです。
特選品そのものは、数も出ないしコストが余計にかかっているので、価格の割に利益はほとんど出ないものの、総体としてのブランド価値を高めることに役立つというわけです。
中山栗の商標登録情報
登録日 | 平成25年(2013)3月15日 |
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出願日 | 平成23年(2011)12月27日 |
先願権発生日 | 平成23年(2011)12月27日 |
存続期間満了日 | 平成35年(2023)3月15日 |
商標 | 中山栗 |
称呼 | ナカヤマクリ,ナカヤマグリ |
権利者 | えひめ中央農業協同組合 |
区分数 | 1 |
第31類 | 愛媛県伊予市中山町産のくり |