愛媛県の地域ブランド商標である西宇和(にしうわ)みかん、真穴(まあな)みかんは、ともに、西宇和農業協同組合によって地域団体商標に登録されました。
愛媛県といえばみかんの産地として有名です。
中でも、西宇和産のものは品質がよいと言われます。
栽培している品種は、全国で栽培されているもっとも一般的な品種である温州みかんです。
特別な品種ではないのに、いったいなぜ西宇和みかんはブランドを確立できたのでしょうか。
愛媛県の地域ブランド商標、西宇和みかんとは
西宇和みかんの味の秘密は地形にあり
愛媛県の西宇和みかんは、八幡浜市、伊方町、西予市三瓶町の2市1町にまたがる西宇和地域で生産され、JAにしうわ管内10ケ所から出荷されるみかんの総称です。
同じ温州みかんでも、愛媛県西宇和地域のものは甘みと酸味のバランスがよく、味にばらつきがないと言われています。
いったいなぜ同じ品種なのに西宇和地域のものは味が違うのでしょうか。
その秘密は西宇和の自然観環境にあります。
西宇和地域は、愛媛県から九州方面に伸びる“日本一細長い半島”佐田岬半島の全部、およびそのつけ部分に位置します。
瀬戸内海側、宇和海側とも典型的なリアス式海岸で、急峻な崖になっているため、平地は極めて少なく、沿岸部に石垣で築いた段々畑でみかんの耕作が行われています。
農耕には極めて不利な地形が、みかんなど果樹の栽培に適した環境を与えていたのです。
西宇和みかんをおいしくしている3つの理由
農耕には不利な平地の少ない崖ばかりの愛媛県西宇和の地形がなぜ果樹栽培に最適な環境となったのでしょうか。
理由は3つです。
1.太陽の光をたっぷり浴びる
柑橘類の生育環境としてもっとも重要なもののひとつが日照量です。
愛媛県に限らず、みかんの産地として有名な和歌山や静岡などいずれも、温暖な地域で日照量が多い地域ことがわかります。
西宇和の場合は、空から降り注ぐ太陽光線だけではありません。
崖から突き出るように、海岸線ぎりぎりまでせり出す段々畑で生育する西宇和のみかんには、海からの照り返しと白い石垣からの反射光も合わさり、四方、八方から太陽光線が降り注ぐのです。
2.水はけのよい土壌
愛媛県の西宇和みかんの品質が高い理由の二つ目は、水はけのよい土壌です。
西宇和の土壌は砂土壌が多い上に、果樹園は急峻な崖に作られているため、水がたまりません。
西宇和の年間降水量は約1600~1700mmと県内でも比較的に多い部類に入ります。
雨は降らなさ過ぎてもだめですが、降った雨がいつまでも土壌にたまっているのも果樹にはよくありません。
その点、西宇和は、雨は適度に降るけど、さっと流れていつまでも溜まらないという、果樹栽培には極めて好条件の自然に恵まれているわけです。
3.海からもたらされるミネラル
3つめの理由は、海からもたらされるミネラルです。
海岸地域で生産される西宇和みかんは、海から吹き付ける風が豊富なミネラルをもたらしてくれます。
さらに、海の近くであることから、肥料として貝殻や海藻類が使われており、風からの栄養と土からの栄養のダブルで育つわけです。
愛媛みかんのもう一つブランド、真穴みかんとは
おいしいと評判の西宇和みかんの中でも、さらに最上位の品質と評価されているのが「真穴みかん」です。
真穴みかんは、西宇和地区の中でも、八幡浜市の「真網代」と「穴井」というところで生産されるみかんのことを言います。
真網代と穴井のそれぞれ最初の文字をとって真穴地区と呼ばれます。
真穴地区には現在、約240戸の農家がみかんを生産しており、JA西宇和の真穴共同選果場から出荷されるみかんのみが真穴みかんの商標で呼ばれます。
その受賞歴をざっと並べてみると以下の通りです。
- 1947年・・・第1回愛媛県果実展示品評会1等受賞
- 1949年・・・1951年、1957年、全国果樹品評会農林大臣賞受賞
- 1964年・・・第3回農業祭天皇杯受賞
愛媛県はみかんの名産地ですが、その中でも評判の高い西宇和みかんの最上位とされる真穴みかんは、まさにみかんの中のみかんと言える存在かもしれません。
参考:
西宇和みかん支援隊
JAにしうわ
愛媛県庁企画振興部政策企画局広報広聴課「八幡浜支局管内農業の概要」
真穴柑橘共同選果部会
ウェルカム四国
西宇和みかんの商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)1月5日 |
---|---|
出願日 | 平成18年(2006)4月3日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月3日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)1月5日 |
商標 | 西宇和\みかん |
称呼 | ニシウワミカン |
権利者 | 西宇和農業協同組合 |
区分数 | 1 |
第31分類 | 八幡浜市、西宇和郡及び西予市三瓶町産のみかん【類似群コード】32E01 |
真穴みかんの商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)1月5日 |
---|---|
出願日 | 平成18年(2006)4月3日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月3日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)1月5日 |
商標 | まあな\真穴みかん |
称呼 | マアナミカン,マーナミカン |
権利者 | 西宇和農業協同組合 |
区分数 | 1 |
第31分類 | 八幡浜市真網代及び穴井産のみかん【類似群コード】32E01 |