愛媛県の地域ブランド商標である菊間瓦(きくまかわら)は、タオルでも有名な今治市の菊間町に由来する瓦で、菊間町窯業協同組合と菊間瓦工業協同組合によって地域団体商標に登録されています。
なぜ愛媛県で瓦の生産が盛んになったのでしょうか。
愛媛独特の気候や風土にその秘訣があるようです。
愛媛県の菊間瓦とは
菊間瓦とは、愛媛県今治市菊間町に端を発する伝統的な製法により製造された菊間町産の屋根瓦のことです。
愛媛県の菊間瓦は、丈夫で長持ちし、数十年たっても吸水率の高さを維持する高い機能に加えて、いぶし銀に輝く美しいツヤが特徴です。
750年に及ぶ長い伝統によって築き上げられた確かな技術によって高い品質を保ち、さらに、組合の行う検査に合格した製品のみが、菊間瓦の商標をつけることを許されます。
神社仏閣はもとより、全国の住宅の屋根を菊間瓦が守っています。
愛媛県の菊間瓦の製法
愛媛県の菊間瓦は、伝統的な製法が受け継がれています。
その工程は次の通り。
1.粘土の練り
原料となる粘土は、香川県産のさぬき土と、菊間町内でとれる五味土の混合です。
混ぜるときには、成分を均質にするため、いったん土を粉砕して粉状にした上で混ぜ、水分を加えて練り合わせます。
こうしてできた原土を10日間寝かせ、水と土をなじませます。
2.型抜き
すっかりなじんだら、原土を真空土練機にかけて空気を抜き、瓦の堅に抜きます。
できたものを荒地(あらじ)といいます。
3.成型
荒地をさらに4~10日ほど寝かせ、しっとりしてきたところでプレス機にかけ、立体的に成型します。
4.みがき
成形した瓦の表面に雲母を塗布します。
この表面加工のことを「みがき」と言います。
乾燥によるゆがみを抑え、また、表面に光沢を出すためです。
5.乾燥
みがきをほどこしたら、5日間ほどかけて陰干しします。
乾燥室などで急速に水分を抜くとゆがみの原因になるため、時間はかかっても自然乾燥にこだわります。
乾燥して水分が抜けた状態を「白地」と呼びます。
6.焼成
白地に上薬を塗り、1000℃~1050℃で焼き上げます。
7.いぶし
焼き上げたらそのまま約20時間密閉し、いぶしの工程にはいります。
菊間瓦の特徴であるいぶし銀色の光沢は、この時にできます。
愛媛県の菊間瓦の歴史
愛媛県今治市菊間町で瓦の生産が始まったのは、約750年前と言われています。
瀬戸内海に面した地域に特有の雨が少なく温暖な気候は、瓦の生産に適していました。
瓦は天日で干されますが、雨が降って水を吸ってしまうと、一からやりなおしなので、雨の少ないことが瓦の生産には重要なことでした。
特徴的ないぶし銀の輝きから、昔は「いぶし瓦」と呼ばれていました。
伝統の製法を守り続け、1980年には愛媛県の伝統的特産品に指定されています。
さらに、現在では、伝統技術を応用し、アクセサリーや花瓶など、オリジナルの日用品も企画製造され、あらたな道の模索が始まっています。
参考:
菊間町窯業協同組合
「いよ観ネット」(愛媛県観光物産協会)
今治市
菊間瓦の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)2月9日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月7日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月7日 |
存続期間満了日 | 平成39年(2027)2月9日 |
商標 | 菊間瓦 |
称呼 | キクマガワラ |
権利者 | 菊間町窯業協同組合、菊間瓦工業協同組合 |
区分数 | 1 |
第19分類 | 愛媛県今治市菊間町に由来する技や製法により菊間町で製造された粘土瓦【類似群コード】07A02 |