愛媛県の地域ブランド 「今治タオル(いまばりたおる)」

愛媛県の地域ブランド商標である今治(いまばり)タオルは、平成19年(2007)7月6日、四国タオル工業組合によって地域団体商標に登録されました。

今治といえばタオル。

有名です。

生産量では今治を有する愛媛県が他を圧倒する堂々の日本一。

いまや海外でも名前が知られるほどです。

いったいなぜ、今治タオルはこれほどのブランド力を獲得したのでしょうか。

目次

愛媛県の地域ブランド商標、今治タオルの特徴

愛媛県の今治地域で生産される今治タオルは、タオルの基本機能である良く水を吸い、早く乾くのはもちろん、肌触りのよさ、丈夫さ、安全性などどれをとっても最高品質と言われます。

タオルは工業製品です。

同じ生産機械と生産技術があれば、同じようなタオルができるはずです。

それでは何故、今治ではこれほどのブランド力を築いているのでしょうか。

今治の水のよさ

愛媛県の今治タオルの品質が高い理由の一つは水のよさです。

タオルの生産においては、さらし、染め、のり付けなど、各工程で多くの水を使います。

愛媛県の今治タオルの生産に使われる蒼社(そうじゃ)川の水は、重金属や有機物など不純物の少ない、織物の生産に極めて適した良質の水だったのです。

独自の厳しい品質基準

四国タオル工業組合では、今治タオルの商標使用に際して、独自の基準を設けています。

1.脱毛しにくい

タオルに限らず、布製品が使用や洗濯によってへたっていくのは細かい毛が脱毛していくからです。

どんなタオルでも脱毛は避けられませんが、繊維長が短い粗悪な原料は脱毛が多く、繊維長が長い高級原料を使うほど脱毛しにくくなります。

そこで、今治タオルは生地タイプによって脱毛率を厳格に定め、一定の品質を保っています。

2.色落ちしにくい

洗濯や摩擦による色落ちは、染色や精練漂白加工の工程によってかなり抑制できます。

色落ちするタオルはこうした工程を端折っているのです。

おろしたてのタオルは品質の低いものでも鮮やかな色をしていますが、本当の品質は使い込んだときにわかるもの。

今治タオルは染色の工程にも厳しい基準を設けています。

3.低ホルムアルデヒド

繊維製品は製造工程でホルムアルデヒドが残留してしまう場合があります。

アレルギーの原因にもなるこの物質をほぼゼロにするよう、厳格な基準が定められています。

4.高い吸水性

今治タオルの自主基準の厳格さを象徴する例が、吸水性試験にあるといえるでしょう。

今治タオルにおける吸水性の試験は、1ℓの水が入ったビーカーの上に、1cm角の試験片を浮かべ、5秒以内に沈み始めたら合格というものです。

この試験を未洗濯状態と3回洗濯した状態の2回に分けて行い、クリアした商品のみを今治タオルとして認定。

品質試験に合格したタオル商品であること証明するブランドマークとロゴの使用が許されるのです。

愛媛県の地域ブランド商標、今治タオルの歴史

時代に合わせて作るものを変えてきた

江戸時代のころにはすでに愛媛県は綿栽培が盛んで、1801年頃には伊予絣(いよかすり)という独自の織物を完成させていました。

伊予絣は久留米絣、備後絣と並ぶ三大絣に数えられるほどになり、明治期には日本の絣生産のおおよそ半分を占める産業に成長しました。

しかし、生活の洋風化とともに徐々に絣の生産が低下すると、今治では絣の技術を応用して綿ネル(毛織物のこと。フランネルともいう)にシフトすることで衰退を免れました。

さらに1910年(明治43年)、当時出始めたばかりのタオルに目を付けたのです。

日本人の生活はどんどん洋風になっていく時代の端境期にあり、手ぬぐいからタオルの時代に変わるだろうという予測は図に当たり、今治はタオル生産地として飛躍していきました。

最大のピンチを救ったプロジェクト

ところが、近年になってかつてない危機が今治の繊維産業に訪れます。

安い外国製品に押され国産タオルは急速に需要が減少し、1990年代から2000年代にかけて、わずか10年で生産量が1/5に激減したのです。

この危機を救ったのは「今治タオルプロジェクト」でした。

中小企業庁、日本商工会議所、全国商工連合会の3団体が共同運用する「JAPANブランド育成支援事業」の一つとして、2006年から4年間にわたって取り組みが行われたものです。

この取り組みでは、4年間で、ブランドロゴマークの制定、新商品開発、国内外の展示会への出展、アンテナショップの開設、タオルソムリエ資格制度やタオルマイスター制度を整備などの改革を矢継ぎ早に実施。

メディア戦略にも力をいれていたため、この数年間で“今治タオル”の知名度が急速に向上。プロジェクト開始前の調査では、今治タオルの知名度は36%だったのが、2012年の調査では倍の71%まで向上していました。

高い品質だけに頼るのではなく、地域のブランディングを生産者が一丸となって行ったことが、今治タオルのブランド力の背景にあるのです。

参考:
テクスポート今治
四国タオル工業組合
今治タオル公式ブランドサイト
「今治タオルに学ぶブランディング戦略と産地再生」岐阜市立女子短期大学研究紀要64輯(平成27年3月)

今治タオルの商標登録の状況

登録日 平成19年(2007)7月6日
出願日 平成18年(2006)8月31日
先願権発生日 平成18年(2006)8月31日
存続期間満了日 平成29年(2017)7月6日
商標 今治タオル
称呼 イマバリタオル
権利者 四国タオル工業組合
区分数
第24分類 愛媛県今治地域産のタオル【類似群コード】17B01
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