愛知県には、仏壇のブランド商標が二つあります。
一つは、名古屋仏壇、もう一つは、三河仏壇です。
仏壇の産地は全国に約30カ所ありますが、同県内に複数の産地があるのは愛知県のほか石川県や新潟県など数えるほどです。
愛知県はもともと仏教信仰が厚い土地柄の上に、仏壇の原料となる材木の集積地で水運の便もいいため、生産が盛んになったようです。
そんな中でも、愛知県の西部・名古屋を中心につくられた名古屋仏壇と、中部から東部の三河地域で製造される三河仏壇にそれぞれ進化を遂げました。
名古屋仏壇については、[POST_LINK id=”938″]で解説していますので参考にしてください。
愛知県の三河地域で発達した三河仏壇とはどのような仏壇なのでしょうか。
愛知県の三河仏壇とは
特徴
愛知県の三河仏壇の特徴は以下の通りです。
- 台部分の三杯引出し(引き出しが横に3つ並んでいる形)
- 低めの台
- 釘を使わない「ほぞ組み」による組立て式
- 使用する原料はヒノキ、ケヤキ、イチイなど
- 漆は天然漆を使用
- 金具は銅合金を使用
- 装飾が豪華で、特に、中障子の「花子彫」は精巧
さらに、三河では仏壇を押入れに設置する習慣があり、大きなカーブを描くように作られた「うねり長押(なげし)」という独特な形も最大の特徴になっています。
光が遮られる押し入れの中でも、宮殿に光を多く取り込めるよう、遮蔽物をなくすために、通常は直線の長押をうねられせて、本尊を拝みやすくしたわけです。
また、押入れのサイズに合わせて台も低くなっています。
8つの工程による手作り
愛知県の三河仏壇は、8つの工程に分かれます。
さらに、それぞれの工程に特化した専門の職人によって1個の仏壇を製造する完全な分業制です。
8つの工程はそれぞれ次の通り。
- 木地部
- 宮殿部
- 彫刻
- 漆塗り
- 錺金具取り付け
- 蒔絵
- 金箔押し
- 組立
製造はすべて手作業。
工期は最低でも6ヵ月から長いと数年に及び、それだけに精巧、堅牢につくられています。
愛知県の三河仏壇の歴史
愛知県の三河仏壇の起源は、元禄17年(1704)とされます。
創始者は、庄八家という仏壇師だったという記録が残っています。
この時代、木曽など木材の産地から矢作川を利用して運ばれる豊富な原料が、三河湾に集積していました。
さらに、三河地域北部の猿投山麓で良質の漆が採れたこともあり、仏壇の産地として発達したと考えられています。
幕末から明治時代にかけて、岡崎市内を中心に愛知県東部の三河地域全域で製造が行われるようになり、三河仏壇が地域ブランドとして発展しました。
昭和51年12月15日には、経済産業大臣から国の伝統的工芸品として指定を受けています。
参考:
三河仏壇振興協同組合
三河仏壇振興協同組合
伝統工芸青山スクエア(伝統的工芸品産業振興協会)
仏壇の一流
全国有名仏壇店ネット
岡崎市
愛知県
JTCO日本伝統文化振興協会
三河仏壇の商標登録情報
登録日 | 平成20年(2008)6月27日 |
---|---|
出願日 | 平成19年(2007)11月19日 |
先願権発生日 | 平成19年(2007)11月19日 |
存続期間満了日 | 平成30年(2018)6月27日 |
商標 | 三河仏壇 |
称呼 | ミカワブツダン |
権利者 | 三河仏壇振興協同組合 |
区分数 | 1 |
第20分類 | 愛知県三河産の仏壇【類似群コード】20F01 |