アメリカのゲーム制作会社とイギリスの衛生放送サービス会社の間で商標の侵害問題を巡って3年にわたる法廷闘争が行われていたことがわかりました。
水面下で行われた裁判について6月20日、関係者がツイッターで公表したことから、世間に知られることになったもの。
両者はすでに和解に達しているようですが、ある商標というのがSKYというあまりに一般的な名称だったことから法廷闘争にまでもつれ込んだことを疑問視する声も上がっています。
英大手放送がゲームの名称を差し止め
発端になったのはアメリカのゲーム制作会社Hello Games(ヒーローゲームス)が制作中の宇宙探索をテーマにしたアドベンチャーゲームNo Man’s Sky(ノーマンズスカイ)です。
全世界で今年8月に発売する予定で開発が進められており、日本でもソニーのPS4仕様で発売される予定の家庭用ゲームです。
問題になったのは、作品の名称に含まれるSkyという商標でした。
ヒーローゲームスの創設者で、法廷闘争を暴露したSean Murray(ショーン・マレイ)氏によると、この商標にかみついたのはイギリスの大手衛星放送サービス会社であるSky UK社(スカイ社)です。
スカイ社はBSkyBという商標をイギリスと欧州で保有しており、No Man’s SkyのSkyという部分が商標侵害に当たるとして使用の差し止めを要求したということです。
アメリカでもイギリスでもSkyは空を意味するありふれた単語です。
この一字のみで商標侵害を問われるとはマレイ氏も当初思っていなかったようですが、スカイ社は強気でした。
なぜ強気だったのでしょうか。
実は、前例があるのです。
ありふれた単語を独占しようとする姿勢に疑問
話は2011年にさかのぼります。
スカイ社がIT界の巨頭マイクロソフト社を相手どって商標侵害の訴訟を起こしました。
マイクロソフトのクラウドストレージサービスSkyDrive(スカイドライブ)がスカイ社の商標を侵害しているというのです。
共通しているのは、やはりSkyという単語のみ。
マイクロソフトでは当初、使用している分野も衛星放送とクラウドストレージサービスという違いがあることから侵害には当たらないと見ていました。
ところが、2年に渡って行われた裁判の結果、イギリスの裁判所はスカイ社の訴えを認め、スカイドライブが商標を侵害しているという判定を下したのです。
結果として、マイクロソフトは、イギリスと欧州でスカイドライブの呼称が使えず、サービス名をOneDrive(ワンドライブ)に変更することを余儀なくされました。
今回についても、ゲームと衛星放送という違いがあるとはいえ、予断を許さない状況でした。
法廷闘争が3年間にも及んでいることから見ても、一筋縄ではいかなかった様子です。
マレイ氏は今回の裁判の内容を明らかにしていませんので、どのような交渉がもたれかは不明ですが、ノーマンズスカイの名称が引き続き使えるようになったのは確かです。
関係者は一安心していることでしょう。
それにしても、不可解なのはスカイ社です。
過去にはマクロソフトだけではなくオンラインテレビ電話サービスのSkypeをやはり商標侵害で訴えたこともあると言われています。
Skyというあまりにもありふれた単語を独占しようとする姿勢はいかがなものかという批判の声が世界中から上がっているのは当然のことに感じます。