特許庁は9月26日、音楽的要素のみからなる音商標について、制度運用開始以降、初めて登録査定(商標登録妥当と判断すること)したと発表しました。
CMなどでおなじみの大塚製薬のラッパ演奏など3つの音商標がオリジナルの商標として認められることになったのです。
ところで、音楽的要素のみからなる音商標ってなんだ?
音商標とは何か
まず、音商標とは何か、というところから押さえておきましょう。
音商標とは、メロディーやリズム、セリフ・歌詞、その他効果音など、音のみからなる商標のことです。
商標というと、従来は商品やサービスの名称そのもの、ロゴやエンブレム、キャラクターのイラストなど平面状のものがほとんどでしたが、時代の変化とともに、いろいろな表現手段が発達しています。
その一つが、音です。たとえば、CMで使われるテーマ曲、キャッチフレーズ・社名・商品名などに音階をつけたものなどを、固有の商品やサービスを識別する指標として使用されるようになり、音商標が国際的に確立されました。
日本でも、2015年から、音商標を固有の商標として認める商標法の改正が行われ、登録が始まっています。
なお、2015年は、音商標だけでなく、文字やロゴなどといった従来の商標の枠に収まらない商標として、「動き商標」、「ホログラム商標」、「色彩のみからなる商標」、「位置商標」の4種も同時に商標として認められています。
そこで、2015年から新しく商標として認められた5種をまとめて「新しいタイプの商標」と呼びます。
このうち、音商標については、運用開始から2年半が経過した9月19日現在で566件の出願があり、すでに172件が商標登録されています。
音楽的要素のみからなる音商標とは何か
いわゆる音商標については、すでに多数の出願が商標登録されているわけですが、今回認められたのは、“音楽的要素のみからなる音商標”です。
音楽的要素とは、特許庁によると「メロディー、ハーモニー、リズム又はテンポ、音色」などのことです。
いままで認められていた音商標は、メロディーに歌詞がついたもの、あるいは、他の効果音や人の声との組み合わせなどでした。
たとえば、伊藤園の緑茶飲料の商標である「おーいお茶」は、CMに使われいた男性俳優のセリフである「お~いお茶」という声がそのまま商標として登録されたものです。
あるいは、天藤製薬の外用薬「ボラギノール」の商標である、「痔にはボラギノール」は、キャッチフレーズに音階をつけたもので、やはり、CMで使われています。
つまり、これまで認められてきた音商標は、商品名を呼称していたり、特徴的なフレーズだったり、人工的な音声や効果音をともなうものです。純粋な音階のみを商標として認めるかどうか、2年かけて慎重な審査が行われていたわけです。
商標登録された3つの音商標
今回、商標登録が認められたのは以下の3つです。
- 大幸薬品の「正露丸」のCMで使われるラッパ演奏
- インテルのCMで使われる効果音
- Bayerische Motoren Werke(BMW)のCMなどで使われる効果音
なるほど、実際の音声を聞いてみると、確かに聞き覚えがあるし、商品のイメージも沸いてくるはずです。