NHKの朝ドラで一躍国民的女優になった能年玲奈さんが2016年7月20日、芸名を「のん」に改名すると発表しました。
事務所からの独立騒動が報じられていた中での改名。
気分一新して再スタートを図るという意思表示かと思ったら、実は、能年玲奈という名前が商標として扱われているため改名せざるを得なかったのではないかと言われています。
能年玲奈は芸名である前に、本名でもあります。
本名なのに名乗れないということがあるのでしょうか。
改名にいたる経緯おさらい
女優でモデルの能年玲奈さんがNHK朝の連続テレビドラマ小説あまちゃんでブレイクしたのは2013年。
ただ美人なだけではない、不思議なオーラを持つキャラクターが開花し、その後も、映画にCMに引っ張りだこに。
ところが、一躍人気女優の座を獲得した彼女が、あるころからさっぱり姿を見なくなりました。
所属していた芸能事務所に断りなく個人事務所を設立していたことがわかり、契約関係で揉めているということが芸能ニュースで知られるようになったのは最近のことです。
その後も、騒動の続報がときおり芸能ニュースに上ることはあっても、事態に進展がないまま彼女が公の場から消えて、しばらくたったときにもたらされた改名のニュース。
ようやくお互いの話し合いがつき、心機一転、新しい名前で再スタートを切るのかと思いきや、どうもそういうわけではなさそうです。
芸名使用の許可権を主張する所属事務所
週刊文集によれば、能年さんが改名したのは、前の所属事務所であるレプロエンターテイメントから「能年玲奈」の名称使用についての警告があったからだということです。
記事によれば、今年6月末で事務所との契約が切れる予定だった能年さんに対し、レプロ側が、「契約終了後も能年玲奈の名称を使うなら当事務所の許可をとるように」という意向を伝えたようです。
つまり、独立して出ていくなら、能年玲奈という芸名を使わせないという意志を事実上示したものだと捉えられます。
能年さんはやむなく芸名を変えるしかなかったということのようです。
問題は、冒頭でも触れた通り、能年玲奈は芸名である前に本名だということです。
有名にしてもらった恩があるとはいえ、本名を使うのに第三者の許可がいるのでしょうか。
本名を使うのに第三者の許可が必要か
このケースの判断は非常に難しく、ひと言では言えません。
まず、確実に言えることは、本人の社会的な活動において、本名を使うことになんら差し支えなく、当然、いちいち第三者の許可をとる必要はありません。
問題になるのは、芸能活動において使う場合です。
芸能人の芸名は、たとえ本名であっても商標として扱われますので、商標権が発生します。
以前の所属事務所であるレプロエンターテイメントが、能年玲奈という商標の商品を企業努力によって有名にし、高い商品価値を生み出したとすると、レプロ側に商標の先使用権があります。
仮に、能年さんが他の事務所に移籍した先で、能年玲奈という芸名を商標として使用した場合に、レプロ側が使用を停止したり、損害賠償を請求したりできる可能性があります。
このため、能年さん側は仕方なく改名したのでしょう。
とはいえ、能年玲奈という名前を今後、まったく使えないようになるというわけではありません。
商標権がどのように扱われるかは個別の場面で判断されることになると思います。
加護亜依さんのケースでは本名を使い続けている
似たようなケースでは、過去に加護亜依さんの経験した状況とよく似ています。
国民的なアイドルグループだったモーニング娘。の中心メンバーとして活躍し、卒業後はタレント、歌手などとして活動していた加護亜依さんが、新たな事務所に移籍することになった2013年、以前の所属事務所が、「加護亜依」を芸名として使用することに難色を示したのです。
加護亜依は本名ですが、以前の所属所が在籍時に芸名を商標として登録していたことから、商標権を主張したわけです。
このとき、以前の所属事務所は、加護亜依という名前を使うなと言ったわけではなく、もし使うならなんらかの法的処置をとるといったニュアンスの意思表示をしたようです。
両者の間でどのようなやり取りがあったかは不明ですが、その後、加護さんは本名のまま芸能活動を続けており、特に支障はないようです。
芸能人など著名人の名前は著名商標として扱われます。
商標登録しているか否かにかかわらず、第三者が勝手に使用することはできません。
しかし、本人が使う場合にどう判断するかという決まりが商標法にないため、判断が難しくなっています。
商標権が本人にあるか、それとも、所属していた事務所側にあるのか、芸名として使用するときにどのような制限があるかなど、個別の場面で判断されることになり、本名でもある芸名が使えなくなるというわけではありません。
今回は、能年さん側が以前の所属事務所とのトラブルを避けるため安全策をとったということのようです。
このようなことがあるため、海外では、著名人は自ら商標を取得するケースが一般化しているようです。
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