エナジードリンクとしてアメリカ国内でシェア2位の飲料メーカーであるモンスタービバレッジ社はこのほど、中国市場に進出することになりました。
販売はコカ・コーラ社を通じて行われることになったのですが、商標の問題で躓くことになりました。
同社の商標である「モンスター」を意味する中国語の怪獣はすでに中国国内で商標登録されていたのです。
しかも、同じくエナジー飲料として。
また中国お得意のパクリかと思ったら、どうも様相が違うようです。
中国国内メーカーが先に商標登録済みだった
まずは、事の背景について説明しましょう。
今回の主役は、モンスタービバレッジ社の主力商品、その名もモンスターエナジーという清涼飲料水です。
3本の爪で引っかいたようなデザインの飲料缶と言えば思い当たる人も多いでしょう。
日本でもコンビニエンスストアなどで最近よく見かけるようになりました。
そのモンスターエナジーを製造販売するモンスタービバレッジ社がこのほどコカ・コーラの販売網を借りる形で中国市場に進出することになりました。
ところが、問題は、冒頭でも触れた通り商標です。
中国語でモンスターを意味する怪獣の商標を、すでに上海の曼斯特飲料有限公司という会社が取得済みだったのです。
しかも、エナジードリンクの商標として使っているので、区分も同じです。
モンスタービバレッジ社は仕方なく、中国市場での商標を「鬼爪」として販売することになりました。
モンスタービバレッジの会長兼最高経営責任者(CEO)「中国への進出が遅れ、気付いた時にはパッケージも機能もモンスターエナジーにそっくりの飲料が売られていた」と悔しさをにじませました。
これに対して、商標を持つ曼斯特飲料側は「怪獣飲料が弊社の製品であることは間違いなく、米国のモンスタービバレッジ社とは何の関係もない」と反論しています。
いつもの中国国内企業による外国の有名商標の先どり事案か、と思って調べてみたら、今回ばかりはどうもそう簡単な話ではないようす。
似て非なるものと言わざるをえない
まず、商標の「怪獣」ですが、特別な造語というわけではありません。
言葉の使われ方としても、中国国内でも「すごい」とか、「強い」といったニュアンスを表す形容詞として枕詞に使われることがよくあるそうで、つまり、エネルギー成分を増強した飲料につけるネーミングとしては自然と言ってもいいでしょう。
内容成分については今回、詳しくはわかりませんでしたが、エナジードリンクの内容成分はどこもたいして大きな違いはなく、仮に似たような成分構成になっていたとしても、特許でも取得していない限り、問題はないはずです。
ここまでは、「アメリカの飲料メーカーの商品を模したのではなく、偶然似てしまっただけ」と言えそうな気がします。
問題になりそうなのはパッケージです。
モンスターエナジーの特徴的な爪跡のデザインまで同じだったら、さすがにパクった証拠になります。
そこで、写真を探したらありました。
著作権の関係でこのページに掲載できないので、ちょっと面倒ですが、一瞬、次のURLをのぞいてみてください。
今回の話を報じた中国のニュースサイトのようです。
ここに、問題になっている曼斯特飲料の怪獣飲料のボトルと、モンスタービバレッジ社のモンスターエナジーのボトルの写真が並べられています。
似ている要素を探せばまったく類似性がないとまでは言えないとしても、明らかにこれは違うデザインです。
おそらく、実際のところは、曼斯特飲料側がモンスターエナジーを意識して商標を作ったのだろうことは想像に難くないとしても、ここまで崩すと類似性は薄く、似て非なるものと言わざるをえないようです。
中国のパクリもだんだん手が込んできたということでしょうか。
それとも、中国だっていつまでパクリばかりではないということでしょうか。