福島県国見町商工会が申請していた国見バーガーの商標登録が4月28日特許庁によって認められました。
国見バーガーは地域産品を使ったいわゆるご当地バーガー。
東北地方のご当地バーガーを集めた人気投票、ふくしまバーガーサミットで2014、205年と連続グランプリを獲得するなど、勢いに乗ってちょっとした地域グルメに育っています。
その誕生の発端となったのは何気ない一言だったと言います。
町の名前が立つような当たらなグルメをつくる
国見バーガーが誕生したのは2012年3月。
東日本大震災の災禍から1年がたち、地域復興のために地元の産品を使った新しいグルメを作ろうという企画の中で生まれたものです。
アイデアを出したのは地元の商工会でした。
国見町は自然が豊かで農畜産品や水産品は豊富にありますが、そのほとんどが一次産品です。
地域の名前が立つような名物が欲しい。
商工会が目を付けたのが地元商店街で人気の総菜である佐久間商店のさばの味噌煮です。
骨まで食べられるサバの味噌煮として全国的に知られる商品になっていた地元のグルメ。
これをなんとか生かせないかと考えました。
サバの味噌煮そのままでは出せないし、かといって二次調理したらせっかくの味がそこなわれます。
煮詰まる商工会メンバー。
そんなとき、一人の青年の「これでハンバーガーを作ったら?」という何気ない一言がきかっけで誕生したのが現在の国見バーガーだったのです。
シリーズ全5種をラインナップ
できあがった試作品は、佐久間商店のサバの味噌煮をメインに、地元産のトマト、レタス、タマネギを加え、町内の佐久間パン店のバンズで挟んだオール国見の新バーガーでした。
さっそく、商店街のイベントの目玉として売り出したところ好評を博したことから、商工会では事業化に動き、翌2013年には専用のキッチンカーをしたてて定期販売に踏み切りました。
その後、第二弾として町内のひふみ食堂のチーズ入りチキンソースカツを使った国見バーガー2も誕生。
隠れた地域グルメとして知られるようになっていた2014年10月、福島県で開催された東日本初のご当地バーガーグランプリふくしまバーガーサミット2014で、東北6県と関東の一部を加えた参加25品の中から、グランプリを獲得したのです。
メディアの取材が訪れるようになると、噂を聞きつけた商業施設から出店の依頼が舞い込むようになり地域グルメとしての地歩を築いていきました。
現在ではラインナップも拡大し、イベント限定品や季節限定品をのぞくと、麹なんばん味噌、ホット・チリ、ポテトサラダの3品を加えた全5種類になり、県外からも噂を聞きつけて販売所を訪れる人が増えたということです。
団体商標の利用で地域ブランドを育成へ
今回、商工会が取得した商標登録は通常の商標ではなく団体商標です。
団体商標とは団体の構成員に使わせる目的で商標を登録できる特別な制度。
業界団体が加盟企業に交付する品質保証マークや、地域グランドの育成のための商標登録に活用されています。
従来は社団法人や組合にのみしか登録できませんでしたが、平成27(2015)年の改正商標審査基準により商工会やNPO法人も利用できるようになったものです。
この機会に商工会ではさっそく国見バーガーの団体商標を取得。
新たな地域ブランドとして育成を図る考えです。