アメリカを代表するスポーツカーとして知られるシボレーコルベットに最強のニューモデルが登場する――マニアや関係者の間でそんな話題が盛り上がっています。
事の起こりは5月16日、アメリカの知財を扱う特許商標庁の公式サイトでGMがある名称を商標登録したと公表したことです。
自動車会社の新車計画といえば秘中の秘。
正式発表まで絶対に漏れてはいけないはずなのに、なぜ商標登録に踏み切ったのか、考察してみました。
伝説の人気車種が復活か
今回、米特許商標庁に商標登録されたことが明らかになったのはZR1という商標です。
たった3文字の商標が何を意味するか、車に興味のない人にはまったくわからないと思います。
本題とはずれるのですが、ちょっとだけ説明すると、アメリカの代表的なスポーツカーでGM社の人気車種であるシボレーコルベットのさらに最上級モデルの称号とされるのがZR1です。
過去に何度か生産されましたが、いずれも限定生産で販売台数は希少です。
営業的な側面より、会社の持っている技術力を追求するという意図があるようで、その時々の最新技術の粋を集め、発売するたびに各種レースや選考会などで記録を塗り替えてきた伝説を持ちます。
GMと言えばご存知の通り、かつて新車販売台数世界一の地位にあったアメリカ最大の自動車会社でしたが、長引く販売不振によって2009年に一度経営破たんしています。
ようやく再建の兆しが見えてきた中で、お家芸である巨大な排気量を持つスポーツカーの復活を喫する一環として、伝説の車種を出すのではないかと言われているわけです。
商標をプロモーションに使うという方法
さて、今回GMはなぜZR1の商標を登録したのでしょうか。
会社が側では何も発表していないので、本当にシボレーコルベットZR1が発売されるかどうかを含めて真相は不明です。
なので、ここからは私の推測も含んだ考察です。
商標登録すればその情報が公開されてしまうのはGMでも先刻承知です。
ZR1というたった3文字の商標だけでも、関係者にかかればシボレーの最上位車種ではないかと推測するのはたやすいことです。
したがって、画期的なニューモデルを計画中であることがばれてもいいというつもりで商標登録したはずです。
要するに、話題作りの一環だったのではないでしょうか。
実際に、商標登録された途端、米国内の自動車専門誌やマニアがこぞってニュースやブログで取り上げ、あっといまに噂が広まりました。
アメリカで商標登録されてわずか数日のうちに海を超えて日本にまで噂が飛び火しているのですから相当です。
もしこれが宣伝だったら極めて合理的です。
いまの情報化社会では、どれだけ人々に話題にしてもらえるかでプロモーション効果が違ってきます。
人気の個人ブロガーや口コミサイトなどを使って商品の発売前から情報を流すのがいまどきの商品戦略の常套手段です。
GMがもしシボレーコルベットZR1のプロモーションを企図したとするなら、要した費用は商標登録のために使ったおそらく数百ドルのみということになります。
ニューモデルの計画は、ライバルやマスコミも常に狙っています。
どうせ漏れてしまうならいっそプロモーションにしてしまうもの一つの手です。
あまつさえ、商標登録をうまく使うことで、お金もかからず、こちらが変に情報操作などしなくても、勝手に推測して噂を広めてくれる。こんなにうまい手はありません。
真相はいずれわかると思いますが、商標登録にはこのような使い方もあるということです。