インターネット掲示板の元祖として知られる2chの商標について、3月23日、創設者であるひろゆき氏こと西村博之氏に登録する権利が認められました。
2ちゃんねるは2014年以降、現在の運営会社とひろゆき氏の間で乗っ取り騒動が起こっています。
同氏は騒動発覚後の2014年3月に2chの商標登録を出願。
いったんは拒絶されましたが特許庁に不服を申し立てていました。
先に商標登録が認められた2ちゃんねるに続き、ドメインにも使われる2chの商標登録が認められたことで、騒動はひろゆき氏に有利な状況となりそうです。
2ちゃんねる乗っ取り騒動とは
いったん拒絶された商標登録がなぜ一転して認められたのか気になるところですが、まずは騒動の経緯から振り返ってみましょう。
まだインターネットが普及する前、パソコン通信時代に誕生した掲示板サイト2ちゃんねる。
最大の特徴は匿名性で、管理人はいるものの、基本的に発言は自由。何の規制もありません。
このため、虚実入り混ぜた情報が乱れ飛ぶことで知られ、たとえば、ある犯罪が起こったときに、犯人とされる人物の実名や居住地など個人情報があっという間に出回るなど、あまりにセンセーショナルな内容が物議をかもし、ときに社会現象にもなりました。
近年は、インターネットが普及し、SNSなどの情報交流手段が増えたため、かつてほどではないとはいえ、現在でも多くのユーザーが利用する巨大掲示板として存在感を持っています。
そんな2ちゃんねるに乗っ取り騒動が起こったのは2014年3月です。
2ちゃんねる(2ch.net)のサーバー管理をしていた会社が、サーバー使用料の不払いなどを理由に2ちゃんねるの運営権を取得。
創設者で管理人のひろゆき氏が2ch.netにアクセスできないようにしたのです。
ひろゆき氏側は現運営会社のこの行為を違法な乗っ取りと主張しました。
対抗するため新たに2ch.scを立ち上げるとともに、2ちゃんねる、および、2chの文字商標の取得を図って登録を出願していたのです。
運営していない商標の登録が認められるのはなぜ
現運営会社に2ちゃんねるを乗っ取られたと主張するひろゆき氏は、商標登録することで対抗しようとします。
2chの商標登録を2014年3月に出願しました。
ところが、いったんは特許庁によって拒絶されてしまうのです。
2chはひろゆき氏が創設し、商標も同氏が考えたものです。
運営が実質的に別会社に移ったとはいえ、もともとの発案者です。
なぜ認められなかったのでしょうか。
特許庁が問題にしたのは、商標登録の出願時期です。
ひろゆき氏が2chの商標登録を出願したのは2014年3月27日です。
その少し前に2ch.netの管理者、および所有者が現運営会社に移行されたとの報道がなされ、この時点ですでにひろゆき氏は運営から離れていたと考えられます。
したがって、申請した時点で、2chの商標はひろゆき氏ではなく、現運営会社が実質的に使用しているとみなされたのです。
他者が使用している商標を登録することはできません。
商標法では誰が発案者であるかは問題にしないのです。
では、なぜその判断が覆ったのでしょうか。
拒絶査定を不服としたひろゆき氏はすぐに審判を申し立て、裁判が行われました。
結果、2chという商標はひろゆき氏管理のもとで周知性を獲得していたと判断され、出願時点で運営に携わっていなかったとしても、ひろゆき氏側に商標を登録する権利があると認めたのです。
2chという商標はひろゆき氏が周知させたもので、少なくとも出願時点では、ひろゆき氏が管理をしているサイトの名称であると広く認識されていたという結論が下されました。
すでに、2016年4月5日付で、認証審決がひろゆき氏に送達されており、近く商標登録の続きを行うものと思われます。