商標登録にかかる費用(2)商標登録にかかる費用を比較検討する方法

商標登録するのにいったいいくらかかるのか?

商標登録を代行する弁理士事務所などのサイトをいろいろ見比べていると、それぞれにいろいろな書かれ方をしています。

いったい本当にいくらかかるのか、あるいは、どういった料金設定だとリーズナブルと言えるのか、見分けるのに一苦労すると思います。

そこで、商標登録にかかる費用にはどんなものがあって、どういった目安、基準で選べばよいのか、ということについてまとめてみました。

目次

商標登録にかかる費用を複雑にしている二つの原因

商標登録にかかる費用の算出方法を複雑にしている一つ目の原因は、特許庁に支払う手数料が極めて多種類かつ細かい点です。

商標登録する際に必ず発生する費用に加えて、条件や場合によって発生する手数料があり、また出願時の設定の仕方によっても費用は変わります。

長くなるのでここでは詳しく書きません。細目を調べているかたには、商標登録の際に特許庁に支払う手数料一覧を下記の記事にまとめたのでご覧ください。
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二つ目の原因は、特許庁に支払う手数料とは別に弁理士など代行業者に支払う報酬がある点です。

商標登録を主に扱っているのは、商標を含む産業財産にかかわる法律の専門家である弁理士になりますが、特許庁への手数料とは別に、出願時、登録時、審判請求時など、それぞれに料金設定があります。

それも、以前は、弁理士事務所が弁理士報酬をある程度定めていたのですが、現在ではまったくそういう縛りはなく、弁理士が自由に価格を決められます。

このため、他の弁理士事務所との差別化のためにそれぞれ独自の価格設定をしており、単純な比較がしにくく、ややこしくさせている原因の一つになっているようです。

商標登録にかかる費用の一覧

商標登録の際にどのような費用がかかるのか、出願から登録そして登録後を含めてざっと一覧にしてみました。

タイミング 特許庁手数料 弁理士報酬
1 出願前 なし 調査費・相談料など
2 出願時 出願手数料 出願手数料
3 審査時 印紙代 補正費用・意見書費用
4 登録時 登録手数料 登録謝金
5 拒絶査定時 審判請求など 審判請求費用
6 登録更新時 登録更新手数料 登録更新手数料
7 商標管理 なし 訴訟手数料やコンサルティング

細かい点はまだあるのですが、主なものをざっと並べるとこのような感じです。

補足説明をすると、下記の通りです。

1について

出願するかどうか検討している段階のため、特許庁への手数料はありません。

商標登録とはどのようなものか、あるいは出願したとして通る可能性はあるかといったことを弁理士と相談し、場合によっては弁理士に事前調査してもらいます。

したがって、弁理士への相談料や調査料などの費用が発生することがあります。

ただし、実際には顧客獲得のため事前相談や調査費を無料にしているところが多いのが現状です。

2について

特許庁への手数料、ならびに弁理士への代行手数料がかかります。

3について

特許庁への審査の結果、すんなり登録とはならない場合があります。

拒絶通知(登録できないという通知)が届いたときは、補正手続きや意見書の提出などを行います。

この際、特許庁に対しては印紙代、弁理士に対しては手数料がかかります。

4について

特許庁に対しては登録手数料、弁理士に対しては成功謝金、つまり成功報酬を支払います。

5について

審査の結果、拒絶査定(商標登録できないという特許庁の最終結果)がでた際、諦めればそこまでですが、審判(再審)請求することもできます。

その際は、特許庁への費用、弁理士への費用がそれぞれかかります。

6について

商標登録は5年ないし10年で権利が切れますが、更新することによって半永久的に権利を保持し続けられます。
その際、特許庁、弁理士それぞれに登録更新手数料がかかります。

7について

商標登録は登録をしたら終わりではなく、商標を管理していく必要があります。

訴訟を起こす場合や、自分が訴えられた場合の対応、さらに商標を使ってビジネスをより有利に進めていくためのコンサルティング業務もあります。

このような依頼を申し込む場合は、弁理士に対して費用がかかります。

重要なポイントは「出願費用+登録費用」

さて、商標登録するまでにはいろいろな費用がかかることはわかりました。

主なものだけざっと並べただけでも結構複雑です。

そこで、重要度の高いものを見ていきましょう。

重要度の高いものは、出願費用+登録費用です。

ほとんどの弁理士事務所が提示している「商標登録の際にかかる費用」は、「出願費用+登録費用」です。

このとき、目先の安さ、高さに惑わされないようにしましょう。

というのも、「安い」と思ったら、表示していたのは弁理士費用だけで、特許庁への手数料が含まれていなかったということがあります。

また、登録手数料について、登録時に残存期間(商標権が切れるまでの期間)を5年と10年から選べます。

手数料も5年と10年で変わるので、登録費用を5年で計算しているか、10年で計算しているか確認しましょう。

出願費用と登録費用の合計だけに絞れば、価格によって比較検討しやすくなります。

見た目の安さに惑わされないように

出願費用と登録費用だけ見ていれば、代行を依頼する事務所の料金をある程度正確に見分けることができます。

しかし場合によっては、一般の人にはわからないよう、料金設定にある仕掛けをしている場合があります。

先述したように、ほとんどの弁理士事務が商標登録の費用として表示しているのは、出願費用と登録費用のことです。

そこで、この二つだけグッと安く設定しておいて、一般の人があまり気にしない補正費用や意見書費用、審判請求などを高額に設定しているケースなどがあるようです。

つまり、すんなり登録できればリーズナブルに上がることもある半面、少し手続きが煩雑になると、かえって高額になってしまうことがあるのです。

代行業者を選定する段階では、とりあえず出願費用と登録費用だけ見ていればいいですが、ある程度絞ったらしっかり話を聞き、細かい料金設定まで確認するとよいでしょう。

具体的な費用の算出方法については、下記の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
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