近年はグローバル経済の時代を反映し、会社の規模、ビジネスの内容にかかわらず、海外との取引や国外でのビジネス展開が当たり前の時代になりました。
これにしたがい、知財の権利を国際社会の場でいかに保護するかという取り組みが重要になっています。
商標においても同様で、日本国内だけではなく、海外においても商標を守りたいという要望が増えています。
そこで、ここでは、海外で商標登録する際に重要になる商標調査の方法と窓口についてご紹介します。
海外での商標調査の相場
一般的に、海外での商標調査の場合には、外国の弁護士・弁理士に依頼する必要があります。
海外の弁護士事務などに直接依頼することももちろん可能ですが、そんなつてもないし、知識もないという会社がほとんどではないでしょうか。
そこで、おススメするのが、日本の弁護士・弁理士を通じて海外での商標調査を行う方法です。
海外での商標調査の場合は、期間、費用が国によって違ってきます。
ここでは、よく日本の会社が調査する国の情報についてご紹介しましょう。
なお、ここで紹介するのは、1商標1区分についての費用です。
また、この費用に日本の代理人費用がプラスされます。
海外における地域別の商標調査の期間、費用の相場は以下の通りです。
- 中国:約5日で、約1万円~3万円
- 韓国・台湾:約5日で、約3万円~5万円
- 香港:約1週間~2週間で、約7万円~15万円
- アメリカ:約1週間~2週間で、約12万円~23万円
- ヨーロッパ:約1週間~3週間で、約7万円~25万円
なお、ヨーロッパは国によってかなり違いがあるので、相場の幅が大きくなっています。
簡易検索も事前にできる
現地の代理人に実際に依頼する前に、それぞれの国のデータベースに日本からアクセスして、簡易検索することもできます。
条件としては、データベースがその国で整備されている必要があり、さらに、当該国の言語に通じている必要があります。
ほとんどの国においては、データベースを英語で公開しています。
ここでは、それぞれの国のデータベースについてご紹介しましょう。
各国のデータベースへのアクセスは以下の通りです。
中国・商標局
韓国・特許庁
台湾・知識財産局
香港・知的財産局
アメリカ・特許商標庁
ヨーロッパ・商標庁
国際登録商標
参考:
特許庁ホームページ「中国・台湾での我が国地名の第三者による商標出願問題への総合的支援策について」
外国産業財産権侵害対策等支援事業のホームページ「世界の産業財産権制度および産業財産権侵害対策概要ミニガイド」
国による法制度の違いも注意
外国で商標調査する場合は、日本との法制度の違いにも注意する必要があります。
日本の商標法の場合は、商標権が登録によって発生します。
これを先願主義と言います。
日本と同様の考え方をとっている国もありますが、そうではない国もあります。
たとえばイギリスやアメリカの法律では、商標を登録していなくても使うことによって商標権が発生します。これを先発明主義と言います。
イギリスやアメリカのような先発明主義を採用している地域では、当局に記録されている商標登録簿を調べただけでは万全な調査とは言えません。
たとえば、自社が使っている商標と似た商標が先に使用されていないかを調査する場合は、商標の使用実態調査をしなければならないわけです。
いずれにしても、海外における商標の調査は現地のビジネス事情や法律知識に詳しい国内の便利にまず相談するのが賢明です。