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それでも商標登録をお勧めする理由は、商標登録しないまま商標を使い続けていることのデメリットがはるかに大きいからです。
具体的に商標登録しないまま商標を使っているとどんなデメリットがあるのでしょうか。
商標登録しないまま商標を使っていると起こりうるリスクとして、比較的に軽いものから段階的に説明していきます。
第1段階:一般名称化してしまう
まず考えられるのは、商標登録しないままでいると同業他社も同じ商標を使えるので、業界で広まってしまうことが考えられます。
すると、固有の商品を表す商標ではなく同類の商品やサービスを表す一般名称として定着してしまい、商標としての機能を失うことになります。
いったん一般名称化してしまうと、あとから商標登録することは不可能です。
商標登録しないまま一般名称化してしまった商標として有名なのがホチキス(またはホッチキス)です。
海外では一般的にステープラーと呼ばれる商品を伊藤喜商店(現イトーキ)がアメリカから輸入して販売するとき、ホッチキス社の製品だったことからホチキスという商品名で売り出したのが最初です。
誰も本来の英語の名称を知らなかったため、ホチキスを一般名称と勘違いした人が多かったようです。
同社も商標登録しなかったので同業他社もホチキスという呼称を使うようになり、やがて一般名称として定着したのです。
第2段階:先取り出願により不当なライセンス料や買い取りを要求される
他者の商標の先取り出願となるような出願を行う業者が実際に存在します。
他者に商標権がある商標であることを知っていながら、登録していないのをいいことに先んじて商標を出願し、本来の商標権者に買い取りやライセンス料の支払いを要求するという業者です。
こうした目的の商標登録が認められる可能性は低いと言えますが、業者側もそれは百も承知。
しつこく交渉を持ちかけるなどしてゆさぶりをかけます。
中には係争への発展を懸念してライセンス料を支払ってしまうケースもあるようです。
我慢して待っていれば不正な出願はいずれ取り消されるとはいえ、まかり間違って通ってしまえば取消審判や無効審判を請求しなければならい状況に追い込まれるなど、非常に面倒なことになるのです。
第3段階:商標が使えなくなる
商標を登録しないままでいると、せっかく使っていた商標が使えなくなるリスクが考えられます。
故意か偶然かは別にして、同業他社が同じ商標、あるいは、似ている商標を先に商標出願し、仮に登録が認められた場合、その同業者から商標の使用の差し止めを要求されることになるでしょう。
日本における商標の考え方は出願主義と言って、先に使用していた側ではなく、出願が早かった者に権利を認めることになっています。
長年にわたって商標を使用としていた実態があっても、商標登録を先に済ませた側の要求に従うしかなくなります。
たとえば、それが商品名なら、違う商品名に変えなければならないので、パッケージやパンフレット、広告などすべて作りかえることになるでしょう。
店名だったら看板の架け替え、従業員の制服を作り直さなければならないかもしれないし、会社名だったら名称変更が必要ですから会社登記からやり直さなればならない事態さえ考えられるわけです。
第4段階:損害賠償を請求される
まかり間違って、商標を他者が先に登録してしまった場合、商標を使えなくなるうえに損害賠償を請求される可能性もあります。
商標法によると、商標権者が持つ商標を侵害する商標を第三者が使っている場合、使用をやめさせた上、勝手に商標を使ったことにより与えた損害を賠償させることができます。
つまり、本来の商標権者であるはずのあなたが、商標登録していなかったために、あとからちゃっかり商標登録した別の人に、損害賠償まで払わないといけない事態になりかねないのです。
まさに悪夢のような事態ですが、それでも、第4段階が最終段階ではありません。もっとひどい最悪の段階があるのです。
第5段階:刑事事件として逮捕される
商標登録しないまま商標を使い続けることによる最大のリスクは、刑事罰を科される可能性があることです。
商標法は民事で争うだけではなく、刑事事件の対象にもなります。
他人の商標を侵害した場合、10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金刑が科させられます。
それだけではありません。これは個人に対する罰則であり、仮に、法人が刑事事件の対象になった場合には、実行行為である経営者などが逮捕された上で、最高で3億円の罰金刑が科される可能性があるのです。
実際には、悪意を持って他者の商標を侵害するコピー業者や海賊版業者などが検挙の対象になることがほとんどですので、正当なビジネスとして商標を使っている場合、刑事罰に問われる可能性は高くありません。
とはいえ、まかり間違って逮捕などという事態になれば、会社の信用も個人の信用もがた落ち、当然、事業を続けていくことは困難になるでしょう。
脅す気はありませんが、そんな最悪の事態になる可能性がゼロではない、ということなのです。