商標の登録を特許庁に申請してから実際に登録が完了するまでの審査を早める方法として早期審査制度があります。
通常であれば半年以上かかる審査の過程を最短1カ月に短縮できる制度です。
詳しくは商標登録における審査を早める方法である早期審査とはで解説しています。
これと似た制度に、早期審理制度があります。
特許庁の審査が通らなかったとき、次のステップとして裁判に進みますが、早期審理制度とは、その審理のスピードを上げる方法なのです。
長い長い裁判を短縮できる
商標登録をする際、早期審査制度を利用すれば審査期間は縮まりますが、審査内容は変わりません。
したがって、商標登録が認められることばかりではなく、商標登録を認めないという結果がでることもあります。
ちなみに、商標登録できるというお墨付きを特許庁からもらうこと登録査定、その逆を拒絶査定と言います。
拒絶査定が出た場合、通常のだんどりだと拒絶査定不服審判という段階に進みます。
特許庁の拒絶査定の判断が正しかったのか、司法の場で判断してもらうことです。
要するに裁判なので、これもかなり時間がかかります。
不服を申し立ててから結審するまで2014年度の平均で7.9ヶ月かかっています。
審判の過程にも、スピードアップの方法がないのでしょうか。
あります、早期審理制度です。
早期審理の対象となるには
早期審理の対象となる条件は早期審査とまったく同じです。
繰り返しになるのでここではざっくり説明します。
詳しい説明は商標登録における審査を早める方法である早期審査とはで解説しています。
さて、早期審理の対象になるには、次の(1)か(2)いずれかに当てはまることが条件です。
(1)商標をすでに使用している、寸前の段階までっていて、かつ、商標登録を急ぐ特別の事情がある
商標登録を急ぐ時鵜別の事情とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
- 同じ商標か酷似している商標をすでに使用している、もしくは、使用しようとして準備を進めている第三者がいる
- 商標の使用について、第三者からなんらかの警告を受けている
- 商標について、第三者から使用許諾を求められている
- 商標について、海外にも同時に出願しようとしている
(2)商標をすでに使用しているか、使用寸前の状況で、使用しようとしている商品・役務と同じ範囲内で商標登録しようとするとき
早期審理を申請するための手続
早期審理を利用するには、早期審理に関する事情説明書を特許庁に提出します。
実はこれも、早期審査のプロセスとまったく一緒です。
仮に、最初の出願の際に早期審査を申請して認められていれば、まったく同じ手はずで早期審理を申し込めば、認められる確率が高いということです。
なお、申請は、出願人本人でも可能ですが、代理人に依頼することもできます。
この際、事情説明書の提出のみを代理人に依頼することも可能です。
つまり、頑張って商標登録願の提出を自分でやったけれども、拒絶査定を受けてしまったので、専門家である弁理士の手を借りて審理のプロセスに進みたいということができるわけです。