商標を登録するには、所定の手続きに従って特許庁に出願する必要があります。
しかし、申請すれば必ず登録できるわけではありません。
どのようにすれば商標を登録できるのでしょうか。
専門の特許事務所に依頼するのが無難
商標の登録は、特許や実用新案などと同じ知的財産制度の一種で、特許庁が管轄しています。
特許庁の窓口で所定の手続きを行うことで商標を登録することができます。
直接訪ねる方法に加えて、郵送やインターネット出願などでも可能です。
商標の出願は、多くの場合、弁理士や弁護士が行いますが、必ずしも資格は必要ありません。
手続きそのものは誰でも可能です。
ただし、商標の登録をスムースに行うためには、専門的な知識、ノウハウが必要ですので、商標に詳しい弁理士や弁護士が在籍している特許事務所に依頼するのが無難です。
商標の登録は専門の弁理士に依頼したほうがよい理由は商標登録の手続きを弁理士に依頼することをお勧めするわけでより詳しい解説を行っています。
特許庁の審査をパスすること
出願された商標のすべてが登録されるわけではありません。
特許庁では、申請があると、商標を登録するかどうかの審査が行われます。
審査するポイントは、
- 類似の商標が先に登録されていないか
- 商標として登録するのにふさわしいものかどうか
などです。
審査の結果、商標として不適と判断され、登録されないことがあります。
特に多いのが、類似の商標が先に登録されている場合です。
日本の場合、商標については、原則的に先に出願した人に権利があるというルールになっています。
たとえ登録されていない未登録商標でも、すでに全国的によく知られている似た商標がある場合は、すでに占有権を持っているとされます。
専門用語で先使用権と言います。
審査の結果、似た商標がすでに登録されている、登録されていないけれど世の中に認知されている類似の商標があるなど、独自の商標として認められない場合、登録できないことがあるのです。
特許行政年次報告書2015年版によると、2014年の商標登録出願件数12万4,442件に対し、登録は9万9,896件となっています。
単純に計算すると、出願件数に対する登録の比率は約70%ということです。
登録が認められなかったら、それで終わりではなく、特許庁に意義を申し立てるか、裁判などによって覆ることもあります。
商標の登録を認められなかったときの対応については、商標登録が認められなかったときの対処法でさらに詳しく解説しています。
登録して終わりではなくその後の管理が重要
特許庁の審査官によって法律的に商標登録が可能であるというお墨付きをもらうことを登録査定と言います。
ここまでくれば商標登録まであと一歩、残すは登録手続きのみです。
登録手続きとは、商標法に従って定められた手数料を納付することです。
手数料が未納のままだとせっかく勝ち取った登録査定が取り消されてしまうので注意しましょう。
手数料を支払い、特許庁内での事務手続きが完了すると、晴れて商標として登録され、特許庁から商標登録したことを知らせる登録証が届きます。
商標登録の出願をしてからここまで、平均すると8ヶ月、長いと1年かかることもあります。
長い道のりの末にやっとたどりついた商標登録ですが、ここで安心してはいけません。
商標登録してから2カ月間は、異議申し立ての期間です。
第三者から「自分のほうが先に商標を使っていた」という異議が出されるかもしれません。
また、商標を登録したはいいが、実際に使用している形跡がないと取り消されることもあります。
商標登録したということは戦える武器を持ったということです。
心強い武器ですが持っているだけで使われなければ意味がありません。
たとえば、ライバルが登録商標を勝手に使っているうちに業界に広まってしまうと、呼称として一般化したと判断され、商標登録が効力を失うことがあるのです。
商標は登録することがゴールではなく、さらにその先に管理と運用を行っていくことが重要なのです。