商標登録できる文字や記号とは(文字商標・図形商標)

商標法において商標登録できる商標は、主に、文字、図形、記号、立体形状からなるもの、及びそれらの複合とされています。

文字や図形ならなんでも商標登録できるわけではありません。

具体的に、商標として登録できる文字や図形とはどのようなものでしょうか。

一つひとつ見ていきましょう。

目次

文字商標とは文字の読みのこと

文字商標登録とは、文字のみからなる商標を登録することです。

文字の形ではなく、文字の表す音、読み方を商標として登録する、といったほうが正確でしょうか。

つまり、会社名や商品名・サービス名の名称そのものを商標として登録する方法です。

文字商標として登録するときに、文字の形状を商標として申請しない場合には、標準文字が使われます。

標準文字とは、1996年(平成8年)の商標法改正(施行は1997年)で採用されたものです。

商標登録をする際に用いた活字の字体のみが商標として認識される誤解を防ぐための処置です。

標準文字のみによる商標登録を行う際は、特許庁に提出する申請書に標準文字で登録することを明記する必要があります。

以下のようなケースでは、標準文字としての登録を認められないこともあります。

  1. 標準文字以外の文字を含む商標
  2. 図形を含む商標
  3. 30文字を越える商標
  4. スペースの連続を含む商標
  5. 縦書き、2段組みなど固有の構成を含む商標
  6. 異なる大きさの文字を含む商標
  7. 色つきの商標
  8. 文字の一部がデザイン化された商標

記号商標とはロゴのこと

記号商標とは、文字に飾りや装飾をほどこしてデザイン化したもの、あるいは、商品や会社のイメージをシンボリックな形状に凝縮したものを言います。

いわゆるロゴ、ロゴマークのことです。

文字を装飾して記号商標とした場合は、読みではなく形状が商標の対象になります。

したがって、文字商標では認められにくい一般名称や記述的商標でも、ロゴにすれば商標登録が可能になります。

また、ロゴ商標は、飾り文字と記号や図形の組み合わせでも登録できます。

この場合、登録した飾り文字と図形・記号の両方が商標法で守られることになります。

図形商標とはイラストやキャラクターのこと

図形商標はデザインされた図形や記号のことです。

たとえば、イラスト、エンブレム、キャラクターなどが図形商標に当たります。

商標として登録する図形に制限はありません。

ただし、登録している商標の中から図形を検索しやすくするために、分類が定めてあります。

分類は、大分類だけで次の15通りあり、さらに、中分類、小分類と細分化されています。

  1. 天体、自然現象、地図
  2. 人間
  3. 動物
  4. 超自然的・伝説・空想または確認できない生き物
  5. 植物
  6. 風景
  7. 建造物、広告用建造物、門または柵
  8. 食料品
  9. 織物、衣服、裁縫用品、帽子、履物
  10. タバコ、喫煙用具、マッチ、旅行用品、扇、化粧用具
  11. 家庭用品
  12. 家具、衛生施設
  13. 照明機器、電子管、暖房機器、調理又は冷蔵機器、洗濯機、乾燥機
  14. 金具、工具、はしご
  15. 機械、モーター、エンジン

図形商標についても、文字や記号との複合による商標登録が可能です。

立体商標とは3次元の商標

立体商標とはその名の通り、立体的な形状についての商標です。

比較的に最近、1996年の改正(施行は1997年)によって認められた商標です。

それまでは、文字や記号、図形など二次元の商標しかなかったため、立体商標の登場によって二次元の商標は平面商標、三次元の商標を立体商標と呼び分けるようになりました。

立体商標として有名なものには、不二家のペコちゃん・ポコちゃん人形、ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダース像、ホンダの原動機付自転車スーパーカブの本体デザイン、コカ・コーラのボトル、早稲田大学の大隈重信像などがあります。

立体商標が認められるには、現状ではかなり高いハードルがあります。

まず、極めて特殊な立体形状であることが必要です。単なる球や立方体ではだめです。

かつ、その形状を見たときに、当該の商品や会社を連想するものでなければなりません。

これを専門用語で自他商品識別力と言います。

過去に、自他商品識別力が問われた有名な事案に、ヤクルトの乳酸菌飲料ボトル事件があります。

ヤクルトが主力商品である乳酸菌飲料の容器の形状を立体商標として商標登録しようとしたところ、特許庁は拒絶しました。

飲料のプラスチックボトルとして一般的な形状を大きく外れないものであり、形状のみで他社製品と見分けることはできない、というのがその理由です。

拒絶を不服とするヤクルトは裁判所に不服審判を申し立ましたが、一審では裁判所も特許庁の判断を支持しました。

それでもヤクルトはあきらめず、独自に大規模な消費者アンケート調査を実施。アンケートに答えた人の多くが、ボトル形状でヤクルトの製品を正確に見分けたという結果を提出してやっと登録が認められたのです。

なお、立体商標についても、文字や図形との複合による商標登録が可能です。

以上、商標として登録できるものには、文字、記号、図形、立体形状がありますが、最近では、新しい商標の概念として、音、色、位置なども登場しており、すでに、商標登録できるようになっています。

詳しくは、色や動きも商標登録できる新しい商標とはで解説しています。

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