記述的商標は商標登録が認められにくい

「商標登録できないもの1.他者と区別できない」の中で、商品の産地、販売地、商品の品質や使い方、数量、形状などをごく単純な言い方で表したものは商標登録が認められないという話をしました。

専門用語でこのような商標のことを記述的商標と言います。

実は商標登録が認められない拒絶理由のかなり多くが記述的商標にかかわるものです。

なぜなら、記述的商標というのは、誰でもつけたくなる名前だからです。

どういうことでしょうか、説明しましょう。

目次

誰もが使いたい商標は誰も独占できない

記述的な商標とは、商品などの産地、販売地、商品の品質や使い方を表す言葉で、一般的によく使われる表現のことを言います。

たとえば、食べ物だったら、
「おいしい、新鮮、うまい、美味」

接着剤だったら、
「すぐつく、はがれない、長持ち、」

薬だったら、
「よく効く、すぐ効く、治る」

など、品質を表す表現として普通によく使う言葉があります。

商品やサービスの名前を考えるとき、品質や特徴を訴えるネーミングをつけたいと誰でも思うでしょう。

商品名を見ただけで、何に使う商品か、どんな使い勝手か、どのような効果が期待できるのか、といったことを端的に表せたら、消費者に強くアピールできます。

でも、誰でも使いたいものを誰かが独占的に使えるようにしてしまうと、他の人が困ることになります。

たとえば、接着剤のメーカーが、「強力接着」を含むフレーズの商標をつけて出願し、登録されたとします。

すると、他のメーカーは「強力接着」という文言を商品名に使えないばかりか、パッケージや広告にも書いてはいけないことになってしまいます。

接着剤だったら誰でも「強力接着」とうたいたい。普通に使われる言葉です。

同じように、洗剤に「よく落ちる」、カメラに「きれいに撮れる」、カッターナイフに「よく切れる」など、品質や使い勝手としてよく使われる言葉が使えないとなると、他の人は非常に困るでしょう。

誰もが商標にしたいものだからこそ、誰かに独占的な使用を認めてはいけないのです。

記述的な商標でも認められることがある

記述的商標のすべてが認められないわけではありません。

記述的商標とその他の表現の組み合わせなら可能です。

たとえば、クリーン。

洗剤や掃除機、清掃用品の商標に使いたいところです。

でも、クリーンでは商標登録できません。

そこで、クリ-ンエ-ス、ス-パ-クリ-ン、Dr.クリ-ン、パルクリーンなど、別の表現と組わせることでオリジナルな商標になりえます

また、記述的な商標でも文字商標として登録できませんが、ロゴやキャラクターなどデザイン形状で商標登録することは可能です。

さらに、一般的な表現でも知名度が高く、そのものを表す名称として広く周知され、他者との混同が起きないと判断される場合は、商標登録が認められることがあります。

誰もが使いたい記述的商標。

そのままでは登録できませんが、知恵と工夫によって、商標として独占的に使えるようになる道もあるということです。

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