ご質問
広告などで、「この商品は商標登録されている」、と言う文言をよく耳にしますし、買い物をする際、商品のパッケージをよく見ると商標登録されていることが記載されています。
私たちの身の回りには意外にたくさんの商標があるのに、消費者にとってどのような制度なのかいまひとつわかりません。
商品のパッケージには、商標登録されていること以外に詳しい説明もなく、学生時代に授業で教わったような記憶もないので、どう受けて止めていいのかとまどっています。
商標登録されていることで、私たち消費者に何かしら気を付けなければならないことがあるのでしょうか。
回答
商標とは特定の商品やサービス、提供元を識別するための目印
質問への回答の前に、まず、商標とは何かということからお話しましょう。
商標とは、特定の商品やブランド、作っている会社、あるいは、サービスを提供している会社などを識別するための目印のことです。
たとえば、トヨタの“T”のエンブレムがついていればトヨタ自動車が製造した車であることは一目瞭然です。
欠けたリンゴのマークが入って入ればアップル社の製品であり、VIERAというブランド名からパナソニックの製造しているテレビ製品のシリーズだということがわかります。
そして、これらの商品やブランドの購入体験や使用体験、あるいは作っている会社の評判や社会的な立場などから、商品の安全性や満足度をある程度想定することが可能です。
分かりやすく言うと、たとえ運転したことがない車でも、トヨタ自動車が作っているなら性能や安全性については問題ないだろうということが推測できるわけです。
つまり、商標というのは消費者が商品を選定する際の重要な判断基準、手がかりになっています。
すると、そうした評判や評価にあずかろうという第三者が必ずでてきます。
有名な会社・ブランドにそっくりな商品を作り、紛らわしいマークや名前をつけて、あたかも有名な会社・ブランドの商品であるかのように装い、消費者の誤認を誘おうとするわけです。
商品に対する信頼や会社やブランドへの社会的な評価というのは、おいそれとできるものではなく、その企業が長年の努力によって築き上げてきた大切な財産です。
もし、勝手ななりすましをゆるしてしまえば、自らは努力せずに他社の模倣ばかりする業者が横行し、場合によっては真似された側の評価やイメージを傷つけ、さらに、偽物をつかまされた消費者に対しても損害を与えます。
そこで、商標を勝手に模倣されないように自分の商標を特許庁に管理しもらい、法的に保護する制度として商標登録制度があるのです。
消費者が何かしら気を付ける必要はありません
商標とは何かがわかったところで質問に対する回答に移ります。
結論から言うと、消費者が何かしら気をつける必要はまったくありません。
商標を登録しているということは、「この商標は当社・当制品独自の商標であり、真似をしたら法的に対処します」という同業者へ向けたアピール、もしくは警告です。
したがって、気にしなければならないのは同業者です。
商標制度は、商標を持つ事業者だけではなく、消費者の利益を守る制度でもあります。
消費者が誤って偽物や模倣品をつかまされることのないよう、事業者、行政、警察などが商標を管理し、違反者を取り締まるために商標登録されることをしっかり内外に示す必要があるのです。