商標を登録する際は、まず区分を決めなければなりません。
区分とは、政令によって定められており、商品や役務を属性によって45分類にわけたものです。
商標を登録する際、区分の設定
は極めて重要なポイントです。
区分の設定を間違うと登録できない
商標を登録する際、区分の設定は極めて重要なポイントです。
登録された商標が保護されるのは、同じ分類の中とその類似範囲だけです。
なお、類似範囲については、特許庁で類似商品・役務審査基準を定めており、商品や役務ごとに割り振られている類似群コードによって判断されます。
商標の登録は複数区分に設定可能なので、45分類すべてに登録すれば、理論上はより完璧に商標権を守ることができます。
とはいえ、商標を登録する際の手数料は区分が増えるごとに加算されます。
45分類すべてで出願・登録すると費用や労力の負担が極めて大きい上に無駄が多く現実的ではありません。
半面で、適切な区分を設定しなければ、商標が登録できないこともあるし、第三者に似たような商標の使用をゆるしてしまうことにもなりかねません。
ゆえに区分の設定は極めて重要なのです。
現在は商品と役務で45分類
商標の区分については、歴史上、何度か改定が加えられてきました。
現在の区分は、2005(平成2)年に改定されたものです。
従来の分類は我が国独自の考え方で行われていましたが、標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する多国間協定(ニース協定)に加盟したことで、国際分類に従った改定が行われ、現在にいたっています。
実際の区分は以下の通り、商品にかんするものが第1類から34類、35類から45類までは役務になっています。
[更新日 2009年12月1日]
商品区分
第1類 | 工業用、科学用、農業用の化学品 |
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第2類 | 塗料、着色料、腐食防止用の調製品 |
第3類 | 洗浄剤、化粧品 |
第4類 | 工業用油、工業用油脂、燃料、光剤 |
第5類 | 薬剤 |
第6類 | 卑金属とその製品 |
第7類 | 加工機械、原動機、その他の機械 |
第8類 | 手動工具 |
第9類 | 各種機械器具、光学式の機械器具、電気の調整用・制御用の機械器具 |
第10類 | 医療用機械器具、医療用品 |
第11類 | 照明、加熱、蒸気、調理、冷却、乾燥、換気、給水、衛生用の装置 |
第12類 | 乗物その他移動用の装置 |
第13類 | 火器、火工品 |
第14類 | 貴金属、貴金属製品、宝飾品、時計 |
第15類 | 楽器 |
第16類 | 紙、紙製品、事務用品 |
第17類 | 電気絶縁用、断熱用または防音用の材料と材料用のプラスチック |
第18類 | 革、その模造品、旅行用品、馬具 |
第19類 | 非金属製の建築材料 |
第20類 | 家具、プラスチック製品 |
第21類 | 家庭・台所用の手動式器具、化粧用具、ガラス製品、磁器製品 |
第22類 | ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料、織物用の原料繊維 |
第23類 | 織物用の糸 |
第24類 | 織物、家庭用の織物製カバー |
第25類 | 被服、履物 |
第26類 | 裁縫用品 |
第27類 | 床敷物、織物製ではない壁掛け |
第28類 | がん具、遊戯用具、運動用具 |
第29類 | 動物性の食品、加工した野菜、その他の食用園芸作物 |
第30類 | 加工した植物性の食品、調味料 |
第31類 | 加工していない陸産物、生きている動植物、飼料 |
第32類 | アルコールを含まない飲料、ビール |
第33類 | ビールを除くアルコール飲料 |
第34類 | たばこ、喫煙用具、マッチ |
役務区分
第35類 | 広告、事業、小売・卸売の業務において行われる顧客サービス |
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第36類 | 金融、保険、不動産の取引 |
第37類 | 建設、設置工事、修理 |
第38類 | 電気通信 |
第39類 | 輸送、こん包・保管、旅行の手配 |
第40類 | 物品の加工、その他の処理 |
第41類 | 教育、訓練、娯楽、スポーツ、文化活動 |
第42類 | 科学技術、産業に関する調査研究・設計、電子計算機・ソフトウェアの設計・開発 |
第43類 | 飲食物の提供、宿泊施設の提供 |
第44類 | 医療、動物の治療、人・動物の衛生、美容・農業・園芸・林業に係る役務 |
第45類 | 冠婚葬祭その他の個人の需要に応じて提供する役務、警備、法律事務 |
複雑な分類を慎重に見極める
商標の登録における区分の分類法は、極めて複雑です。
たとえば、第20類の家具、プラスチック製品だけで見ても、いろいろあります。
家庭用の座布団、まくら、マットレスから、業務用の養蜂用巣箱、美容院用いす、理髪用いす、輸送用コンテナまであるかと思えば、くぎ・くさび・ナットなどの小物、食品見本模型や人工池、マネキン人形、竹・とう・木皮などの素材も同じ分類に入ります。
あるいは、プラスチック製の荷役用パレットなら第20類の区分になるのに、同じ荷役用パレットでも金属製になると第6類に分類されるなど、微妙な違いがあります。
こうした違いを理解し、登録しようとしている商標がどの区分に類するのかを慎重に見極めることが、商標の登録を成功させるために極めて大切です。