ロゴをめぐる物語「日清食品ホールディングス」

いまや国民食ともなったインスタントラーメン。

世界で初めて開発に成功したのはご存知日清食品ホールディングスです。

その日清食品のロゴは赤い半円形をしています。

ラーメンどんぶりのようにも見えますが、果たしてそうなのでしょうか。

目次

ロゴに込められた3つの思い

日清食品が商標登録しているロゴマークは、赤い半円形に白抜きのローマ字でNISSINと書かれたシンボルマークをベースにしています。

即席めんを主力商品とする日清食品だけに、どんぶりをかたどったものかと思ったら、実はもっと深い意味がありました。

赤い半円形の商標は、3つの意味が込められているのです。

  1. 食べることを楽しむ人の口元
  2. 食事をすることによって広がる笑顔
  3. 食べ物を盛りつけるための器

この商標は器を表しているのは確かですが、どちらかというと食べている人の口元を意識したもので、通称リップマークと呼ばれます。

食を通じて世の中に尽くすという企業理念が、登録商標の赤色マークに込められているのです。

即席めん誕生秘話

日清食品といえば食にかかわる企業。

その企業理念は創業者安藤百福氏が掲げた4つの言葉に現れています。

  • 食足世平
  • 食創為世
  • 美健賢食
  • 食為聖職

食は人間にとってもっとも大切なものであり、食を通じて世の中に貢献するという考え方です。

安藤氏の経営哲学の背景になったのは戦後の食糧難です。

日本人の誰もが、満足に食べることもできず、路上で命を落としていく人々の姿をたくさん目にしたとき、人間にとって何よりも大切なのは食だという考えに行きつきます。

とはいえ、食物の生産者でもなければ料理人でもない安藤氏、食を提供するためにどうしたらいいか考えました。

ふと頭に浮かんだのは、闇市のラーメン屋にできた長い行列の光景です。

自宅で手軽にラーメンが食べられるようになったら、世の中の人は喜ぶに違いないとひらめきました。

安藤氏はさっそく、自宅の敷地内に研究小屋を作り、たった一人で即席めんに開発に着手したのです。

しかし、最初から即席めんという発想があったわけではありません。

なにせ、世界でまだ誰も開発したことがない商品を作ろうというのです。

研究に着手した当初は安藤氏自身にも最終的な完成形が見えていませんでした。

特に苦労したのが保存方法です。

冷蔵技術も真空パックも発明されていなかった当時、食品を保存するためには乾燥させるしかありません。

何度やってもうまく水分が抜けず、カビたり腐らせてしまったり、なかなか解決策が見出せません。

最終的に、油で揚げて水分を飛ばすというアイデアに行きついたのは、研究を始めて1年後のこと。

この間、安藤氏は睡眠時間を惜しんで、1日のほとんどを研究小屋で過ごしたということです。

そうして1958年8月25、世界初のインスタントラーメンであるチキンラーメンが発売されました。

麺には予め味がついており、お湯を注ぐとそのままスープになり、簡単にラーメンが食べられるという、現在の即席めんのコンセプトがすでにこのとき完成していました。<

その後、即席めんは一気に日本全国へと広がり、いまでは世界中の人の食を満たすまでになったのです。

参考:
日清食品グループ

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