商標登録出願を行う前に必ずやっておくべき先願調査のやり方をズバリ指南《補足編》

商標登録出願を行う前に必ずやっておくべき先願調査のやり方をズバリ指南《基礎編》では、先願調査とはどのようなものかについて解説した動画を紹介しました。

さっそく先願調査を実践する前に、知っておくべき大事な補足事項について解説した動画が2つあるので、合わせて紹介します。

知っておくべき大事な補足事項とは、「区分と類似群コードについて」と、「J-PlatPat利用上の注意」の2つです。

目次

6.区分と類似群コードについて

https://www.youtube.com/watch?v=-mr63Wt7fR4&list=PLhESKlloeK5Vrzu-rKsfibmD9ZI1hpV2q&index=6

この動画では、区分と類似群コードについて解説しています。

「区分」、「類似群コード」は、商標の先願調査のときだけでなく、商標登録する際にも非常に重要になるポイントです。

これがわかっていないと先願調査のときにも、重要な情報を見逃してしまう可能性があり、また、商標登録を行う際にも、適切な出願に支障がでる場合があります。

少し難しい話になりますが、動画ではわかりやすく説明しているので観てみましょう。

まず、「区分」ですが、動画では、「商標の権利範囲の指標」と説明しています。

少しわかりにくいので噛みくだいて言うと、どのような商品、サービスに使う商標なのかを示したのが区分ということです。

商標登録出願する際には、商標を使う範囲を区分によって指定します。

なお、区分は一つだけ指定してもいいし、複数を指定することもできます。

区分は第1類から第45類まであり、第1類から34類までが商品の区分で、第35類から45類までが役務(サービス)の区分です。

たとえば、喫茶店の店名を商標登録しようとしたら、第43類「飲食物の提供及び宿泊施設の提供」を指定するのが妥当でしょう。

商品区分の例として、動画では印刷物をとりあえげていましたが、より分かりやすく「健康食品」の商品名を指定するとした場合で考えてみましょう。

すると、原材料により、第29類「動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物」、もしくは、第30類「加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料」になると考えられます。

理屈の上では、45分類すべてを指定区分とすれば、商品や役務の種類によらず、商標権が完全に守られることになります。

次に、類似群コードについて。

類似群コードとは、「商標登録の審査基準上、互いに類似すると考えられる商品、役務をまとめ、その商品・役務の群ごとに付与したコード」と動画では説明しています。

ちょっとわかりにくい説明ですが、要するに、商品特性が似ているもの、同じような扱いをされている商品や役務について、区分の壁を越えて、特定のコードナンバーで括ったものが類似群コードです。

たとえば、動画でも解説していますが、同じ酒類でも、「ビール」は第32類、「洋酒・果実酒」は第33類と、区分が違います。

ビールメーカーは洋酒も果実酒も扱っていますし、同じお酒なのに区分が違うと扱いをいちいち別にしないとならなくなります。そこで、ともに「28A02」という類似群コードがついており、区分は違うけど同じ商品のカテゴリーに入ることを示しているのです。

7.J-PlatPat利用上の注意

https://www.youtube.com/watch?v=HCEJ-QmKagc&list=PLhESKlloeK5Vrzu-rKsfibmD9ZI1hpV2q&index=7

この動画では、特許情報プラットフォーム(愛称:J-PlatPat)を使った商標情報検索サービスの利用上の注意点について解説しています。

J-PlatPatは商標を含む産業財産権についての情報を、誰でも、自由に、無料・無制限に検索できるサイトです。

たとえば、商標なら、どのような商標がいつ誰によって出願、登録され、現在はどのような状態になっているかといった情報をすべて閲覧することができます。

ただし、J-PlatPatの検索によってヒットしなかったからと言って、その商標が商標登録できると断定することはできません。

すでに他の誰かが商標出願している商標であっても、J-PlatPatで検索したときにヒットしないケースがあります。

まず挙げられるのは、商標登録出願から間もない商標です。

J-PlatPatには、特許庁に出願が行われると、その情報がすみやかに送られ、蓄積されていきます。

とはいえ、作業は人間がするので、出願情報が更新されるまでには若干のタイムラグがあり、商標出願されてからJ-PlatPatで検索できるようになるまで、事務手続き上、おおよそ2カ月程度かかります

したがって、直近に出願された商標は検索してもヒットしない場合があります。

また、J-PlatPatは、商標そのもの、および、称呼などでの検索はできますが、類似性の判断までは不可能です。

特許庁の審査における商標の類似性の判断は、外観(見た目)、称呼(呼び方)、観念(意味合い)の3要素を総合的に見て判断されますので、J-PlatPatでヒットしなかったとしても、出願時に、既存の商標と類似していると判断される可能性はあります。

もう一つ、普通名称や著名商標、公序良俗に反する商標、権威的な団体などをもじった商標など、登録できない商標は、J-PlatPatのデータにはそもそも収載されていないため、検索してもヒットしません。

以上、J-PlatPatによる商標情報検索は、あくまで参考情報であり、出願する上での目安と考えましょう。

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