心地よい苦みが魅力の緑茶飲料「伊右衛門」は、サントリーグループの商品としては比較的新しいものであるにも関わらず人気商品として世間に広まりました。
現在ではカロリーの燃焼を助け、カフェインゼロの「伊右衛門 特茶」という商品も発売されています。
瞬く間にSUNTORYの主軸ブランドに成長した伊右衛門。
その人気と誕生の秘密に迫ります。
老舗茶商とのコラボレーションにより誕生した商品
伊右衛門は2004年3月16日に発売されました。
誕生に深くかかわったのが、創業220年を誇る京都の老舗茶舗「福寿園」です。
現在も福寿園の茶庄が厳選した茶葉のみを使い、水も地元京都から取り寄せています。
そのこだわりの製法の結果、伊藤園の「お~いお茶」やキリンビバレッジの「生茶」と並ぶペットボトル緑茶トップ3の一角に名を連ねるまでになりました。
伊右衛門の名前の由来は、福寿園の創始者である福井伊右衛門にあります。
テレビCMでは、時代劇風の世界感の中で本木雅弘さん扮するちょんまげ姿の茶庄の日常風景が描かれていますが、そのモデルは初代福井伊右衛門です。
開発当初、福寿園はサントリーからの協力の依頼を断っていたそうです。
茶商にとってペットボトル飲料は強力なライバルだからです。
しかし福寿園の「伝統の心の上に常に革新の技を加え、日本の心を支える茶づくりに専念する」という精神からコラボレーションが実現しました。
伝統を守るためには、昔ながらのやり方にこだわるだけではなく、時代にあった新しいものを取り入れ、進化していくことが必要だということでしょう。
伊右衛門のヒットを作ったもう1つのコラボレーション
初期出荷本数が180万ケースという大ヒットを飛ばした伊右衛門ですが、このヒットの裏側にはもう一つのコラボレーションがありました。
それは、コンビニエンスストア最大手のセブンイレブンとの販売協力です。
セブンイレブンは、伊右衛門発売に先駆け、発売日と同時に他社の茶飲料を店頭からすべて引き上げるという大胆なプロモーションを採用したのです。
セブンイレブンにとっては、他の飲料メーカーとの関係をこじらせるリスクを背負ったチャレンジでしたが、結果的にこの試みは成功。一時的にペットボトル容器の生産が追い付かなくなるほどの人気商品になったのです。
ちなみにプロモーション終了後は、セブンイレブンでも他社の茶飲料の扱いを再開しています。