ネーミングをめぐる物語「エイベックス」

音楽・映像を中心とした事業では、ソニー・ミュージック・エンターテイメントと並び国内最大規模の企業体である「エイベックス」。

様々なアーティストを輩出し、先進的な映像技術を世に送り出し続けるレーベルでもあります。

その原点と歴史を少し覗いてみましょう。

目次

社名の由来は経営陣の夢から

1988年4月11日に音楽プロデューサーで実業家の松浦勝人(通称MAX松浦)氏によってエイベックスは立ち上げられました。

当時の社名はエイベックス・ディー・ディーでした。

東京都町田市にあった小さなマンションの一室が創業時のオフィスだったそうです。

いわゆるマンションカンパニーだったわけですが、そんな時代から経営陣は大きな夢を見ていました。

その夢が社名に現れています。

エイベックスの英語表記では「avex」です。

使われているアルファベットにはそれぞれ意味があります。

  • a」は「audio(音声の、聞くための)
  • v」は「visual(視覚の、視るための)
  • ex」は「export(その分野の専門家)

以上の3つの意味を組み合わせた造語です。

音楽だけではなく、音楽をベースにした映像や部隊の総合演出企業になりたい、という夢が込められていたのです。

日本の音楽シーンをけん引するまでに成長

新進のレーベルだったエイベックスは、当時のディスコブームに乗ってジュリアナ東京やマハラジャのコンピレーションアルバムを手掛けたり、イタリアのユーロビート「SUPER EUROBEAT」を日本で最初にリリースするなど、業界を先駆けた取り組みで注目されます。

さらに、1990年代になると、音楽プロデューサーとして絶頂期を迎えていた小室哲哉氏とともにダンスと歌を融合させた音楽を大ヒットさせるなど、日本の音楽シーンをけん引する立場に躍進します。

そして、1990年代から2000年代前半にかけてはトップ人気のアーティストに成長したTRF、安室奈美恵、浜崎あゆみを主力として、レコード業界での一大勢力を築き上げたのです。

現在はグループの中核企業として以下の企業を傘下に収める一大コングロマリットになりました。

  • エイベックス・デジタル(デジタルコンテンツ会社)
  • エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ (レコード会社)
  • エイベックス・ピクチャーズ(映像ソフト会社)
  • エイベックス・マネジメント(芸能事務所)

これ以外にも連結している子会社はまだまだあり、音楽、映像のみならず様々な事業にまたがった大きな企業体として現在でも成長を続けています。

旧弊に捉われない斬新な経営モデル

2000年代に入り、CD販売がピークアウトを迎え、音楽産業がインターネット配信へと移行し始めると、2005年、会員制有料音楽配信サイトをスタート。

さらに、2009年にはNTTドコモとの合弁会社を設立。

携帯電話向け動画配信サイト「BeeTV」を立ち上げ、映像配信ビジネスに参入を果たしました。

既存の音楽産業がCD・レコード販売からネット配信への脱皮に遅れをとるなか、いち早く転身を図り、音楽や映像を総合的に取り扱うエンターテイメント企業へと進化を遂げたエイベックス。

ときにお家騒動が業界を騒がせるなど、紆余曲折がありながらも、旧弊にとらわれず業界に先駆けて斬新なチャレンジを続けてきた姿勢が現在の隆盛を築いていると言えそうです。

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