地球の歴史を知る上で貴重な断層が千葉県市原市で見つかり、日本の研究チームは地質年代の名称として「チバニアン」と命名。
近く、正式な学名として、国際機関に提案する計画でした。
ところが、計画は思わぬところで壁に突き当たりました。
すでに第三者によって「チバニアン」が商標登録されていたのです。
産業財産権に属さない学名の命名に、商標登録がどのように影響するのでしょうか。
そもそもチバニアンとは
地球の磁場は、北極点がN極で南極点がS極というのが常識のようですが、実はいつの時代もそうだったわけではなく、度々N極とS極が入れ替わる「地磁気逆転」と呼ばれる現象が起きています。
地球の歴史上、最後に「地磁気逆転」が起こったのが77万年前。
その痕跡を示す地層が千葉県市原市田淵の養老川沿いで発見されました。
特有の年代層を示す地層が点在する地域を「模式地」といい、その年代を表す呼称として地域名が使われることがあります。
国立極地研究所を中心とする日本の研究チームは市原市の地層を「チバニアン」と命名、国際学会に正式な学名として申請する計画です。
認められれば、「白亜紀」や「ジュラ紀」などとともに、「チバニアン」が特有の年代を示す呼称として採用されることになります。
ところが、研究チームが国際学会に申請する前に、「チバニアン」がすでに商標登録されていることがわかったのです。
同一・類似商標がすでに2件
特許情報プラットフォームで検索すると、「チバニアン」に類似する商標登録・出願は2件。
一つは、ずばり「チバニアン」で登録されています。
出願日は平成28年(2016)8月25日、今年3月3日付で商標登録されています。
権利者名は「村山彰」氏。
指定区分は、第14類、貴金属、宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品、キーホルダー、宝石箱、身飾品、貴金属製靴飾り、時計、第16類、紙類、文房具類、印刷物、書画、第28類、おもちゃ、人形、愛玩動物用おもちゃ、囲碁用品、チェス用品、運動用具、釣り具です。
もう一つは、ひらがな交じりの「チバニあん」で、出願日は、平成29年(2017)1月20日。
こちらは審査中でまだ未登録です。
出願人は「川嶋直樹」氏。
指定区分は第30類、茶、コーヒー、ココア、菓子、パン、穀物の加工品です。
報道などによると、権利者・出願人はいずれも研究チームとは無関係な第三者で、千葉県内に居住。おみやげ物などに使われる模様です。
チバニアンが注目されるようになったのは最近のことで、出願のタイミングなどから、先行して取得しようとしたというより、たまたま似てしまっただけのようです。
とはいえ、商標登録されている以上、指定区分の範囲内での使用に制限がかけられるのは間違いないでしょう。
問題は印刷物
商標登録は、会社名、ブランド名、商品・サービス名など、ビジネスで使用する名称を産業財産権として保護するための制度であり、非営利・学術目的の学名とは相いれません。
たとえば、商品名に「ジュラ紀最中」、「白亜紀饅頭」などの商標を使うことはOKですが、学名は広く一般に使われるものなので商標登録はできません。
今回の問題は、学名として採用される前に、商標登録されてしまっているという点です。
特に、研究チームの関係者が懸念しているのが、商標登録されている「チバニアン」の指定区分の中に「印刷物」が含まれることです。
学名として「チバニアン」が採用されれば、論文、書籍、研究発表の際のガイドブックやパンフレットなどの表記に支障がでる可能性があります。
このため、研究チームは特許庁に対して、「印刷物」を指定区分から除外するよう意義を申し立てることを考えているということです。
併せて読みたいチバニアンのその後:
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参考:
朝日新聞社 「チバニアン」商標登録されていた 千葉・市川の男性名
産経新聞 早くも「チバニアン」を商標登録…国立極地研が異議申し立て 印刷物の除外求める