マイクロソフト社の人気アプリケーションであるマイクロソフトオフィスプロのロゴを模倣したとして7月25日、販売業者の男が商標法違反で逮捕されました。
有名企業の人気商品のロゴやパッケージを模倣し、偽の商品を買わせることで商標法違反に問われるケースは珍しくありません。
しかし、男はソフトそのものを販売しておらず、客が手にしたのは正規のMSオフィス製品でした。
いったいどいうことでしょうか。
正規購入しないと手に入らないはずのパスワードを教えていた
逮捕容疑となったのは、2016年1月から4月にかけて、マイクロソフト社が商標登録しているオフィスプロのロゴに似せた画像を自分が運営するインターネット通販サイトに掲載したというものです。
しかし、この通販サイトではソフトそのものを販売しているわけではありません。
男の手口は、購入客に別のサイトからマイクロソフト社の正規ソフトをダウンロードさせておいて、圧縮されたソフトを解凍するパスワードを伝えるというものでした。
正規ルートで購入しないと手に入らないはずのパスワードをなぜ男が持っていたのか不明ですが、市販の10分の1以下の価格で販売していたということです。
似せたロゴを使ったのが命とり
男の商売は明らかに違法なものです。
本来はマイクロソフト社に入るはずの販売利益を不当な方法で手に入れていたからです。
しかし、男は製品そのものを販売しておりませんので、不正競争防止法や商法の違反に問えません。
さらに、客が手に入れていたのは正規のMSオフィス製品なので、虚偽記載でもなければ、詐欺にも問えないのです。
このように、近年、インターネットを使って不正取引を行うビジネスが横行しているのが現状の中で、手口が巧妙化、複雑化しており、既存の法律ではなかなか対応できないのが実情です。
男の使った手口は法と法のはざまにある隙間を利用した不正でしたが、たった一つだけ逃れられなかったのが商標法でした。
MS製品が格安で手に入ることを知らせるためには、MS製品の商標が必要。しかし、もぐりの販売店である男の通販サイトでは商標の使用許可が出るはずもなく、苦肉の策で似せたロゴを使ったのが命取りになったわけです。