群馬県のことを古い地名の呼び方で「上州(じょうしゅう)」といいます。
群馬県では、食牛肉の習慣が日本で始まった明治時代初期から牛肉の生産をスタートしており、上質な牛肉として、そのころからすでに「上州牛」の名前で知られるようになっていたのです。
現在でも、畜産に適した群馬県の自然環境と生産者の努力によって、関東圏を代表するブランド牛としての地位を確立しており、さらに、日本産の牛肉としては数少ない、アメリカへの輸出が認められた肉でもあります。
群馬県の上州牛とは
肉質の特徴
群馬県は、上毛三山を始めとする山岳地帯からもたらされる豊富な水量と、牛を放牧するのに適した広大な丘陵地に恵まれ、明治の初めごろから肉牛生産が盛んに行われていました。
そのころからすでに、東京などの消費地では群馬産の牛肉は、通称「上州牛」と呼ばれ、上質な肉として取引されていたのです。
さらに、生産者の努力で肥育方法が改善され、現在では、全農群馬県本部と地元生産者が共同で開発した栄養豊富な専用飼料を使用しています。
大自然の中で放牧されて育つため、身が引き締まった筋肉質な赤身と、ほどよい脂肪があわさり、肉のうまみがしっかり味わえるのが特徴です。
対米輸出を認められた数少ない和牛
上州牛は全農群馬県本部傘下の群馬県食肉卸売市場で枝肉に加工していますが、この工場は、世界標準の衛生管理方式であるHACCPを採用しています。
HACCP とは、食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の 危害をあらかじめ分析( Hazard Analysis ) し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという 重要管理点( Critical Control Point ) を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生 管理の手法です。
引用元:厚生労働省HACCP
HCACCPは日本語読みでは「ハサップ」、「ハセップ」と言い、危害分析重要管理点方式などと訳されています。
もともと、宇宙船に持ち込んでも大丈夫なほど高い安全基準をクリアするための手法として米航空宇宙局(NASA)が開発・運用していたもので、現在では、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格委員会(コーデックス委員会)のガイドラインとして採用され、各国にも採用を推奨。日本では厚生労働省が運用しています。
HCACCPの認定工場として認められると、世界に向けて輸出する際、有利になります。
特に、アメリカに食品を輸出する場合はHCACCPの認定が必須で、対米輸出を認められた牛肉の加工場は、群馬県食肉卸売市場を含めて国内に5カ所しかありません。
3つの上州牛
一口に「上州牛」といっても、実は3つのブランドに分かれています。
3つとは、「上州牛」、「上州和牛」、「厳選上州和牛」です。
1.上州牛
広義の意味での「上州牛」は、群馬県の全農加盟の組合員によって生産された黒毛和種、および、黒毛和牛とその他の牛の交雑牛を含めた総称です。
狭義の意味での「上州牛」は、交雑種のみを指す場合があります。
いずれにもしても、肉質等級は「上」以上と定められています。
2.上州和牛
上州牛のうち、純粋な黒毛和種のみを「上州和牛」と称します。
3.厳選上州和牛
上州和牛の中でも、肉質等級が5~4級のもので、枝肉に瑕疵(きずなど)がないなどの条件をクリアした最上級の肉を「厳選上州和牛」と呼びます。
群馬県の上州牛の歴史
肉食の習慣が広まった明治時代にはすでに、群馬県産の牛肉は上質な肉として関東圏で取引され、「上州牛」の愛称で知られていました。
昭和51年になり、JA群馬経済連(現全農群馬県本部)が中心になり、地域の生産者を集めて群馬県食肉品質向上対策協議会を発足。
その会合の中で、肉の品質がとくに良いものだけを「上州牛」として認め、商標の使用を許可する方針が決定され、上州牛のブランド化が進められました。
さらに、JA群馬経済連は協議会の合意のもと、改めて和牛肉質等級において「上」以上のものを「上州牛」と定義づけ、現在にいたっています。
参考:
群馬県食肉品質向上対策協議会
黒毛和牛どっとこむ
群馬県食肉卸売市
全能群馬県本部
旅ぐるたび
上州肉の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)2月23日 |
---|---|
出願日 | 平成18年(2006)5月11日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)5月11日 |
存続期間満了日 | 平成39年(2027)2月23日 |
商標 | 上州牛 |
称呼 | ジョーシューギュー,ジョーシューウシ |
権利者 | 全国農業協同組合連合会 |
区分数 | 1 |
第29分類 | 群馬県産の牛肉【類似群コード】32A01 |