商標登録するメリットだけをあげつらうのはフェアではありません。
デメリットについても触れなければならいでしょう。
そこで、商標登録することによるデメリットを考えてみました。
登録費用がかかる
まず、考えられるのは、商標登録のために決して少なくない費用がかかることです。
法定による最低限の費用だけでも、商標出願時の手数料と登録手数料がかかります。
出願料は3400円+1区分ごと8600円なので、最低でも12000円です。実際には、指定区分が1区分だけということは少ないので、これだけで数万円かかります。
出願料はあくまで出願にかかる手数料。
登録の際、別に登録料がかかります。
登録料は基本10年分で28200円×区分数になります。同様に、1区分ということは少ないのでこれも数万円は最低でもかかります。
このほか、審査に不服があった場合の再審請求、異議申し立てなどの際に別個に手数料がかかります。
以上をざっというと、10万円から20万円といったところでしょうか。
ここまではあくまで法定費用です。
商標登録は専門家である弁理士などを代理人に立てて行うのが一般的です。
したがって、代理人に支払う手数料が別にかかります。
そのほか、詳しくは商標登録費用の内訳にまとめてあるので参考にしてください。
いずれにしても、法定費用だけでも少なくとも10万円以上はかかるということです。
管理運用の手間がかかる
ビジネスを有利に進めていけるのなら、10万円、20万円という出費は決して大きなものではないかもしれません。
それよりも、管理や運用にかかる労力が面倒と感じる人が多いのではないでしょうか。
商標を登録したあかつきには、登録商標であることを分かりやすい形でアピールすることを法律で義務付けられています。
自社の商品やブランド、企業ロゴ、あるいはそれらの載った印刷物や看板などを改めて見直し、作りかえなければならないものもでてくるでしょう。
また、商標をどこかの誰かが勝手に使っていないか監視し、模倣や無断使用を見つけたら、使用をやめるよう勧告し、場合によっては裁判に持っていくことになります。
商標を登録しなければ、発生しないはずの作業と言えなくもありません。
とはいえ、前向きに捉えれば、これらの作業は企業にとってのブランディング活動にもなり得るので、決してマイナスのこととは言えないのではないでしょうか。
商標登録しないことのデメリットが大きい
以上、商標登録することのデメリットについて考えてみました。
改めて考察してみると、商標登録するには確かに費用がかかるものの、どう高く見積もってもせいぜい数十万円といったところです。
もう一つの管理運用の手間についても、面倒な作業が増えると言えばそうですが、ブランディングの一環として捉えれば決してマイナスとばかりは言えません。
総じて言うと、デメリットといってもこの程度なのです。
それよりも、商標登録しないことによるデメリットがはるかに大きいと言えます。
詳しくは商標登録しないまま商標を使っていることのリスクで説明していますので、ここでは簡単に言います。
商標登録しないままでいると、あなたが大切に育ててきた商品名や会社名がある日突然使えなくなったり、あるいは、高額なライセンス料を支払わなければならなかったり、場合によっては損害賠償を請求されることもあり得るのです。
商標登録を面倒と感じる場合もあるでしょう。
しかし、商標登録しないことによるデメリットにぜひ目を向けていただきたいと思います。