鹿児島県の地域ブランド「薩摩焼」

鹿児島県には「薩摩焼」という焼き物があります。

地元のブランド商標として、鹿児島県陶業協同組合が地域団体商標を登録しています。

ところで、鹿児島県の薩摩焼は、同じ「薩摩焼」のブランド商標を名乗っていても、上品な乳白色が特徴の「白もん」と、渋い褐色で質素な味わいの「黒もん」というまったく見た目も作り方も異なるいくつかの系統が派生しています。

もともとは一つの製法からスタートしたのに、なぜまったく異なるタイプの商品が誕生していったのでしょうか。

目次

鹿児島県の薩摩焼とは

鹿児島県の特産品、薩摩焼は、大きく分けても、「白もん」と「黒もん」の2系統に分類できます。

白もんは、別名「白薩摩」とも呼ばれ、その名の通り、地肌が乳白色をしています。

滑らかに仕上げられた表面に貫入(かんにゅう)と呼ばれる細かいヒビが入っており、また、染料や金彩で描かれた精密な上絵、透彫で作られた模様などがほどこされており、芸術性の高さ、上品な面持ちが特徴です。

主に藩御用達の焼き物として、藩邸の調度品、他藩への贈り物、藩主専用の器などとして重用されていました。

一方の黒もんは、別名「黒薩摩」と呼ばれ、黒っぽい地肌にはほとんど模様がなく、質素で落ち着いた風合いが特徴です。

白もんが、高級品として扱われていたのに対し、黒もんはおもに普段使いの器として庶民の中に広がりました。

このほか、明確な特徴を持つ系統を分類分けすると、堅野系、龍門司系、苗代川系、西餅田系、平佐系、種子島系の6つに分かれるということです。

鹿児島県の薩摩焼の歴史

鹿児島県の薩摩焼の歴史は、いまから400年前にさかのぼります。

戦国の世が終わり、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉は、次に、海の向こうの朝鮮半島に目を向け、当時、半島を統一していた李王朝に戦いを挑みます。

しかし、2度にわたって行われた朝鮮役は失敗し、秀吉軍は半島から撤退することになりました。

このとき、戦闘に参加していた薩摩藩の藩主、島津義弘は、手ぶらで帰ることなく、80名余の朝鮮人陶工を国元に連れ帰り、彼らに窯を与え、焼き物を作らせたのが薩摩焼の始まりです。

この当時、李朝では陶工が大きく発達し、高い技術が培われていました。

島津義弘はここに目を付け、朝鮮の高い技術を導入することで、陶業による産業振興を図ったのです。

実は、薩摩だけではなく、他藩も同じことを考えました。

各藩が競うように優秀な陶工を求めて日本に連れて帰ったのです。

たとえば、佐賀県の有田焼や福岡県の上野焼なども、同じ流れで誕生したものです。

その後、薩摩では、朝鮮人陶工から伝授された技術を踏まえつつ、窯元同士の切磋琢磨の末に鹿児島県独自の発展を遂げました。

1867年(慶応3年)には、薩摩焼がパリ万博に出展されました。

このとき、パリ万博には日本の工芸品や美術品が数多く展示され、その芸術性の高さと精巧な技巧でパリっ子を驚かせ、時ならぬ“日本ブーム”をかの地で巻き起こしたわけですが、薩摩焼もそうして世界に名をとどろかせたメイドインジャパン製品の一つになったのです。

参考:
JTCO日本伝統文化振興機構
鹿児島県
鹿児島市
伝統工芸青山スクエア(伝統的工芸品産業振興協会)
全国旅手帖-陶芸ZANMAI

薩摩焼の商標登録情報

登録日 平成19年(2007)1月19日
出願日 平成18年(2006)4月3日
先願権発生日 平成18年(2006)4月3日
存続期間満了日 平成29年(2017)1月19日
商標 薩摩焼
称呼 サツマヤキ
権利者 鹿児島県薩摩焼協同組合
区分数
第8分類 伝統的工芸品に指定された成形方法により製作された鹿児島県産の陶磁製五徳・フォーク・スプーン・火消しつぼ【類似群コード】19A05、19B29
第11分類 同陶磁製あんどん・笠・七輪・火鉢・湯たんぽ・洗面台【類似群コード】11A02、19A02、19B24、19B28、19B57、20A02
第14分類 同陶磁製イヤリング・カフスボタン・ネクタイどめ・ネックレス・ブレスレッド・ペンダント・メダル【類似群コード】21A02、21B01
第16分類 同陶磁製インキつぼ・金魚鉢・筆箱・筆立て・文鎮【類似群コード】19B55、25B01
第19分類 同陶磁製タイル・テラコッター・液体貯蔵槽07A02、09G59、19B49
第20分類 同陶磁製位はい・傘立て・家庭用水槽・工具箱・骨つぼ・さかき立て・三宝・数珠・つい立て・ネームプレート及び表札・花立て・マネキン人形・郵便受け・額縁【類似群コード】19B21、19B35、19B49、19B53、20A01、20C04、20F01、24A02、26B01
第21分類 同陶磁製きゅうす・コップ・杯・皿・サラダボール・茶かん・茶わん・徳利・鉢・ビールジョッキ・水差し・湯のみ・重箱・たる・つぼ・その他の食器類・アイスペール・飲料用容器・花びん・かま・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振り出し容器・しゃもじ・じょうご・食品用容器・水筒・米びつ・水盤・すりこぎ・すりばち・せん・ふた・洗面器・大根おろし・卵立て・なべ・なべ敷き・箸おき・ひしゃく・蓋おき・ようじ入れ・レモン搾り器・香炉・香合【類似群コード】18C02、18C10、18C13、19A01、19A03、19A04、19A05、19A06、20C02、20F01
第26分類 同陶磁製ボタン【類似群コード】21B01
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次