ご質問
商標登録にはどのくらい時間がかかりますか?
回答
出願手続きをしてから、審査結果が出るまで、6ヶ月ほどかかります。
(1)ほとんどは、審査の「順番待ち」期間
意外に思う方が多いと思うのですが、実は、商標登録手続きにはかなり時間がかかります。
弁理士がお客さんの依頼を受け特許庁に手続きをしてから、特許庁の審査に入るわけですが、その期間が6ヶ月程度かかるのです。
厳密には、審査に6ヶ月もかかるわけではなく、「審査待ち」の期間が6ヶ月程度あるということになります。
特許庁には、毎日何百件もの商標登録出願がされていますので、すぐには審査の順番が回ってこないわけです。
ちなみに、この期間けっこう幅がありまして、早い時は4ヶ月くらいで審査結果が出る場合もあります。
ですから、弁理士によっては、4ヶ月〜6ヶ月というように表現する方もいます。
しかし、このように表現すると、「通常は4ヶ月程度だけれど、審査が長引いて6ヶ月程度かかる場合もある」というニュアンスに聞こえる方もいるかと思います。
しかし実際は、審査が長引いているというよりは、純粋に着手順の「運」による場合が多いです。
審査は6ヶ月かかるものと考えておいたほうが良いと思います。
(2)早期審査という制度もありますが・・・
実は、商標登録には、「早期審査」という制度があり、これは、実は、一定の条件を満たしている場合、無料で利用することができます(弁理士の手数料はかかる場合が多いですが、特許庁に追加で支払うお金はありません)。
「早期審査」を利用すると、通常6ヶ月ほどかかる審査の期間が1〜3ヶ月くらいになります。
しかし、私は、自分お客さんに無条件に早期審査をお勧めすることはしていません。
なぜかというと、早期審査の適用を受ける場合、商標登録する権利範囲を狭くしなければならないことがあるためです。
通常、商標登録をするときは、現在その商標を使っている業種だけでなくて、将来的にその商標を使う可能性がある業種に関しても、権利範囲に指定します。
例えば、現在は衣類だけを販売していたとしても、将来的に化粧品も販売するつもりであれば、衣類と化粧品、両方の区分で権利を取ります。
しかし、早期審査を利用する場合、現在すでに使用している衣類だけしか権利を取れない場合があります。
最近は弁理士のHPなどで、「審査が早くなる」ということをアピールしていることがあるので、お客様の方から早期審査を希望される方もいらっしゃるのですが、一長一短であることは覚えておく必要があります。
(3)こんなときは、商標登録になるまでの期間が長くなります
基本的には、商標登録になるまでの期間というのは「審査順待ち」の時間がほとんどですので、案件によって長くなったり短くなったりはあまりありません。
ただし、特許庁に対して追加で書面を提出する場合や、反論手続きをするときは、1ヶ月〜3ヶ月程度、商標登録になるまでの期間が長くなることがあります。
(4)商標登録までの期間が長くても、それほど問題はないという見方も
もちろん、審査結果が早く分かることには越したことはないのですが、実は、多くの場合、審査結果が出るまで6ヶ月程度かかるということは、それほど大きな問題にならないとも考えられます。
なぜかというと、まず、「商標登録できるかどうか」に関する弁理士の調査は、かなり高い精度で当たります。
グレーゾーンの場合もあるのですが、そういう場合は、あらかじめその旨をお伝えしています。
ですから、弁理士の調査結果で「これは商標登録になる可能性が高いです」とお伝えしたものについては、もう、概ね登録になったものと考えて事業をして大丈夫ということになります。
また、これはたまに誤解されている方がいるのですが、「商標登録は早い者勝ち」という制度について、早い者勝ちなのは、厳密には、「商標登録」ではなく「出願手続き」です。
つまり、特許庁に対して最初に書類を提出した時期で、「早い者勝ち」が判断されます。
ですから、特許庁に対して一度出願手続きをしてしまえば、その後に他人が同じ商標を出願したとしても、こちらが勝つことになります。