福井県の地域ブランド商標である越前竹人形(えちぜんたけにんぎょう)は、平成19年(2007)3月2日、越前竹人形協同組合によって地域団体商標に登録されました。
ある職人のほんの思い付きから作られたという竹人形。
それがいまでは福井県を代表する民芸品にまで発展しました。
福井県の越前竹人形とは
越前竹人形とは福井県坂井市及びその周辺地域で生産される竹製人形です。
全国有数の豪雪地帯である福井県では、厳しい寒さの中で強くしなやかに育った良質の真竹や孟宗竹の産地であり、これらの竹を利用して籠や花器などの竹細工類が盛んに生産されていました。
そうした中で、ある竹細工職人のほんの思い付きで、廃材を使って人形を試作したのが始まりで、現在では福井県を代表する民芸品にまで発展しています。
竹など自然素材で作られた人形というと、素朴でごつごつしたものを想像しがちですが、越前竹人形は極めて精緻な細工が特徴です。
筑前竹人形の細工の細やかさが表されているのが、竹だけで作られた「竹髪」。
真竹を髪のような細さまで割き、束にした上で切りそろえ、まるで本物の髪のように結い上げたものです。
いっけんすると竹とは思えないほどつややかな髪の流れに見入ってしまうほどです。
福井県の越前竹人形の歴史
福井県の民芸品、越前竹人形は、昭和27年頃、竹籠や花器など竹細工を扱う職人だった師田保隆と三四郎の兄弟が、竹の端材を利用して人形を試作したのが始まりです。
確かな技巧と豊かな発想で作られた竹人形は評判を呼び、兄弟は副業として竹人形作りに取り組むようになりました。
そうして、迎えた昭和30年、次第に技術も磨かれてきたところで「全国竹製品展」に出品したところ、中小企業庁観賞を受賞。
さらに、「全国新製品展」においても、農業経済局長賞を受賞するなど、立て続けに賞をとったことから注目を集めます。
これがきっかけで、兄弟は竹細工づくりをやめ、人形作り一本に切り替え、本格的な生産を開始しました。
やがて、兄弟に続く職人が現れ、福井県坂井市特有の産業として発達していったものです。
昭和59年7月には、越前竹人形組合員9人が出資し、共同で「越前竹人形の里」を建設しました。
竹人形の直販を行うとともに、竹人形の地位確立、後継者の育成などが目的です。
これにより、竹人形の販売高は飛躍的に高まり、産業として確立されていったということです。
福井県の越前竹人形を題材にした文学作品
越前竹人形はクリエーターの創作意欲を喚起するようで、これまで文学作品やテレビドラマ、映画などのモチーフ、小道具などとして度々取り上げられています。
中でも代表的なものは、地元福井県出身の小説家、水上勉が1963年に発表した、その名も『越前竹人形』という小説です。
福井県を舞台に竹人形作りに情熱を燃やす主人公とその妻に訪れる悲劇を描いた作品で、後に映画化、ドラマ化され、現在も舞台作品などとして上演が絶えない名作です。
参考:
越前竹人形の里
福井商工会議所
日本伝統文化振興機構
旅の提案ココドウ?
長野県中小企業団体中央会
越前竹人形の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)3月2日 |
---|---|
出願日 | 平成18年(2006)4月3日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月3日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)3月2日 |
商標 | 越前竹人形 |
称呼 | エチゼンタケニンギョー,エチゼンニンギョー,エチゼンダケ |
権利者 | 越前竹人形協同組合 |
区分数 | 1 |
第28分類 | 福井県坂井市及びその周辺地域で生産される竹製人形【類似群コード】24A01 |