岩手県の地域ブランド商標であるいわて短角和牛(たんかくわぎゅう)は、平成19年(2007)3月2日、全国農業協同組合連合会によって地域団体商標に登録されました。
短角という割には立派な角をしており、食肉だけでなく闘牛などでもつ活躍しています。
四肢堅牢で病気や寒暖にも強く、もともとは荷役牛として重宝されていたそうです。
そんな牛がいったいなぜ岩手県を代表する食肉に育っていったのでしょうか。
岩手県のいわて短角和牛とは
概要
いわて短角和牛は、岩手県に残る民謡「南部牛追い唄」に唄われた南部牛を祖先にもつ日本短角種の一種です。
赤茶色の毛色から、岩手土産の張り子の牛でも知られる「赤べこ」の愛称で親しまれています。
短角種は国内で生産される全牛肉の1%という希少種で、うち、6割が岩手県で生産されています。
もちろんダントツの日本一。
短角種と言えば岩手県が本場ということです。
肉質
通常の黒毛和牛に比べて脂身が少なく、赤身肉がいわて短角和牛の特徴です。
黒毛和牛の霜降りは全肉量に対して脂肪分が4割のところ、いわて短角和牛は1割。
短角牛はもともと筋肉質なのに加えて、岩手県では放牧によって飼育しているため、よけいに脂肪がつきにくくなっています。
赤身肉は要するに筋肉であり、筋肉には旨み成分であるアミノ酸が含まれます。
このため、いわて短角牛はしっかりした食感と、噛めば噛むほど旨みが強くなるのが特徴となっています。
全国農業協同組合連合会では、肉質等級2級以上のものをいわて短角和牛として商標の使用を認めています。
飼育方法
岩手県では、自然に近い方法による飼育を行っています。
冬のうちに生まれた子牛は、春になると母子一緒に標高1000mの高原で放牧されます。
つまり、母親の乳と牧草で育つわけです。一部配合飼料を与えていますが、農協が生産している自然素材のものに限られ、また、ホルモン剤などの投与はしません。
交配も自然交配で、放牧中の牧草地に、メス牛30~50頭に1頭の割合でオス牛を放っておき、秋になって放牧地から里に下ろし、畜舎で越冬するころにちょうど妊娠するというわけです。
岩手県のいわて短角和牛の歴史
南部牛がルーツ
岩手県が南部藩と呼ばれていた時代、沿岸と内陸を結ぶ物資輸送を担っていた南部牛が日本短角和牛のルーツです。
日本では明治時代になるまで肉食の習慣がなかったため、南部牛そのままでは食肉用に向きません。
そこで、肉牛として改良するため、アメリカから輸入したショートホーン種を交配し、1956年に新種として認定されました。
岩手県のほかに、青森、秋田、北海道などでも生産されています。
短角の名の由来
いわて短角和牛は、“短角”という商標のわりには立派な角を持っています。
その名の由来は、交配したショートホーン種にあります。
ショートホーン、つまり、日本語にすれば「短い角」というわけです。
参考:
いわて牛普及推進協議会
新岩手農業協同組合
東京食肉市場
日経電子版
牛肉の旨さは赤身にあり
いわて短角和牛の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)3月2日 |
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出願日 | 平成18年(2006)7月19日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)7月19日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)3月2日 |
商標 | いわて短角和牛 |
称呼 | イワテタンカクワギュー,イワテワギュー,イワテギュー,イワテウシ |
権利者 | 全国農業協同組合連合会 |
区分数 | 1 |
第29分類 | 岩手県産の和牛肉(日本短角種に限る)【類似群コード】32A01 |