ネーミングをめぐる物語「フマキラー」

蚊やハエなどの不快な害虫をやっつけてくれる強い味方「フマキラー」。

フマキラーの代表的な商品ですが、実は商品の商標の登録が先で、後に商標にあわせて会社名を変更し、現在に至っています。

今回は、「フマキラー」の命名の由来についての話です。

目次

霧状に噴射する殺虫剤として世界初

フマキラーが誕生したのは1920(大正9)年、当時の社名は大下回春堂です。

明治時代に創業した薬種商でした。

大正時代の日本は、衛生環境が十分に整備されていなかったため、度々、伝染病が蔓延していました。

中でも深刻だったのは害虫が媒介する病気です。

害虫の駆除方法としては、除虫菊を原料とする薬剤がすでに明治時代には開発されていました。

けれど、当時は、熱風乾燥した風末を練り固めて線香にする方法しかありません。

飛んでいる蚊を直接退治する方法はないか。

大下回春堂の創業者、大下大蔵さんが思いついたアイデアは、液状にした薬剤を霧状に散布する、という方法でした。

現在の噴霧式の原型がすでに大正時代には完成していたわけです。

ただし、当時は、ガス式の噴射法は開発されておらず、薬液が入ったビンにストロー状の霧吹器を付け、自分で息を吹き込むことで液を霧状にする方法がとられました。

こうしてできたのが「強力フマキラー液」です。

商品は大ヒット。

伝染病対策にも大いに貢献しました。

1962年には、商標からとった社名に変更して現在にいたります。

カ・ハエ退治から命名

ところで、フマキラーのネーミングの由来です。

蚊やハエを退治することから、fly(フライ=ハエ)とmosquito(モスキート=蚊)の頭文字フとモにkiller(キラー)をつなげた造語です。

つまり、「ハエ・蚊殺し」という商品のイメージそのままのネーミングだったのです。

ちなみに、英語のままだとフモキラーになるのですが、語感のよさを考えて、モをマに変えて、最終的にフマキラーに落ち着いたそうです。

ちょっとした違いかもしれませんが、最初の発想からさらにもうひとつひねるかどうかで、ネーミングのセンスがわかれるのかもしれません。

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